今回は、他の金融商品にはない不動産投資のメリットについて見ていきます。※本連載は、株式会社アセットビルドの代表取締役・猪俣淳氏の著書、『誰も書かなかった不動産投資の出口戦略・組合せ戦略』(住宅新報社)の中から一部を抜粋し、不動産投資をどのような方向性で組み立てるかを紹介していきます。

保有期間中に発生するキャッシュフローが魅力の一つ

不動産投資にもメリット・デメリットがありますので、ここで整理してみましょう。

 

1.不動産投資のメリット

 

(1)売買を前提としない定期的な月収

 

株式投資には配当があり、外貨も含めた預貯金には金利が付きますが、ほとんどの投資は基本的に安く買って高く売るというのが利益の源泉です。そのため、特に長期保有というスタンスの投資家でない限りは、デイトレーダーでなくとも市場が開いているときには最適なタイミングを計って、意識を集中させているのではないでしょうか。

 

不動産投資の場合も、買値よりも売値が上回ればキャピタルゲインが発生しますが、保有期間中のキャッシュフローは売買を伴わずに発生するので、それを魅力と感じる投資家は多いと思います。

 

もちろん、売り買いのタイミングを見計らうことは大切ですが、一般的にそのサイクルは長いので、ほかに仕事を持っている人や、ジェットコースター的なストレスを嫌う方には向いているかもしれません。また、短期的な不動産価格の値上がり・値下がりにキャッシュフローが影響を受けないというのも特長です。

 

当然、賃料低下や空室損、運営費、修繕費などの見込みを誤ったり、税金の仕組みによって不本意ながらキャッシュフローがマイナスになる場合があるのはいうまでもありません。

 

また、開発型案件(未造成の土地を買って、数年にわたってインフラを整備し、建築物を建てたうえで開発物件として分譲)や、売却時のキャピタルゲインに主眼を置いたバリューアップ投資のように、あえてキャッシュフローが出ない投資を選択する場合もあります。

複数の物件所有で投資行動の選択肢も広がる

(2)値上がり益が出る場合もある

 

不動産が値上がりした場合、全体のボリュームからかなりの金額になるということと、値上がり益(キャピタルゲイン)を享受できるということがあります。バブルやインフレの際に不動産価格が上昇することが多いのですが、たいていの場合、不動産を所有していてもその恩恵を受けられないことがほとんどです。

 

それは所有不動産が自宅のみというケースが一般的なため、売って値上がり利益を享受できる局面であったとしても、次に買う物件も同じように値上がりしているため、実際はそのまま動けないということでもあります。つまり、不動産が値上がりする場合はその銘柄(物件)だけではなく、そこの市場全体でほぼ同時に動きが出るということです。

 

当たり前のことかもしれませんが、売らないことには最終的な利益も損失も確定しません。もちろん、値上がりのチャンスを逃すなとばかりに、唯一の不動産である自宅を手放して、そのあと値下がりしてから買い戻すということができればいいのですが、そういったタイミングの時には、「売ってからもまだ値上がりしていたら買えなくなる」「インフレが進んだら、せっかく手にした利益も大幅に目減りしてしまう」「待っていればもっと高く売れるのではないか」といった計算が脳裏に浮かび決断が下せないことが多いというのが普通の感覚でしょう。

 

その点、投資物件を含め複数の不動産を所有している場合は、いくつかを売却して利益を確定させ、その利益を、保有し続ける物件に再投資したり、別の物件に再投資するといった作業をしやすいので選択肢が広がり、精神的なストレスも軽減されます。

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    本連載は、2016年3月31日刊行の書籍『誰も書かなかった不動産投資の出口戦略・組合せ戦略』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

    誰も書かなかった不動産投資の 出口戦略・組合せ戦略

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    猪俣 淳

    住宅新報社

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