プロパティマネジメント会社の持つ「情報」の重要性

前回は、プロパティマネージャーの「3つの業務」について説明しました。今回は、プロパティマネジメント会社の持つ不動産「情報」の重要性を見ていきます。

ビルの「情報」で賃料の値下げ交渉に対処する

さて、前回ご紹介したPM業務自体は筆者の会社独自のものではありません。同様の業務を行っている会社であれば、主な業務内容として同じ項目が挙げられているはずです。

 

以前の、別の連載記事で筆者の会社が独自に作成している募集条件比較表をご紹介しました。競合となるであろうビル数十棟を見て歩き、20棟ほどに絞り込んで、順位づけするというもので、あらゆる面から見た情報を徹底的に収集しています。筆者の会社では市場動向に合わせて的確な賃料や条件設定をするためには、必須の情報と考えていますが、これは作る気になれば他社でも作れます。

 

もちろん、不動産会社以外では入手できない情報も多く含まれており、個人のオーナーには難しい部分もありますが、あの表があれば、賃料や条件設定はもちろん、昨今増えている値下げ交渉にも対処でき、テナントも情報量に納得して貸主が提示する賃料を受け入れてくれます。いろいろな意味であったほうがよい情報なのです。

貸す側も多様化するテナントのニーズを知っておく

ところが、私が知る限り、同種のものを作っているプロパティマネジメント会社はほかにはありません。そんなに多く情報を集めなくても、なんとなくやっていける、そう考えている会社が大半なのです。

 

また、あれだけの情報を集めるノウハウがないということもあります。オーナーがどこまでなら値下げに応じるかを知るためには、直接オーナーに会う、電話をする、周辺の関係者に聞くなどの手段で聞き取るしかありませんが、微妙な内容ですから、簡単に答えてもらえるはずはありません。それをどうやって聞き出すか。新聞記者のような取材力までが必要というわけです。

 

加えて、せっかく調査をしてもオフィスビル市場は瞬時に変化します。その変化に対応するためには日常的にビルをチェック、情報を収集し続けなくてはいけないわけで、この作業には手間も費用もかかり、これを個人でやることはビル経営を専業としている人であったとしても至難の業です。

 

常に多くのスタッフがビルを見、情報を収集・分析しているからできることなのです。また、ビルの情報のみならず、設備の最新動向についても常に気を配っており、定期的に社内で勉強会を開く、メーカーの工場などを見学させてもらうといった方法で情報収集することもできます。

 

テナントのニーズは日々多様化、個別化していますから、貸す側もそれについて知っておかなければニーズに対応したビルは供給できません

本連載は、2010年12月21日刊行の書籍『空室を抱える中小オフィスビルオーナーのための満室ビル経営』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

サブリース株式会社 代表取締役

1946年岩手県宮古市生まれ。1969年に都留文科大学を中退、東都商事株式会社に入社。貸事務所仲介営業に従事し、入社から5カ月で営業管理職兼トップ営業マンと して活躍する。その後、同社を3年10カ月で退社、26歳 で独立を果たす。40年以上にも及ぶ業界経験のなかで、 貸事務所の仲介のみならず、貸ビルの設計・開発ならびに リフォームを含めたビルのコンサルティングも手掛け、多く の空室に悩むオフィスビルを再生させてきた。また、業界に先駆け、貸事務所の転貸業(サブリース)を考案するな ど、その豊富な経験を活かし、現在はサブリース株式会社 にて、オフィスビルの設計、開発、再生に力を注いでいる。

著者紹介

連載「サブリース」の活用で成功するオフィスビル経営

空室を抱える 中小オフィスビルオーナーのための 満室ビル経営

空室を抱える 中小オフィスビルオーナーのための 満室ビル経営

佐々木 泰樹

幻冬舎メディアコンサルティング

サブプライム問題、リーマンショックを経て、悪化した賃貸オフィスビル市場は依然厳しく、地方都市では都心以上に苦しい状況にあります。そのような中、特に中小規模のオフィスビルは、バブル期以前に建った築20年以上のビルが…

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