前回は、事業や部門ごとの利益率が把握できる「セグメント情報」の重要性を解説しました。今回は、子会社サポートで留意したい「同族会社行為判断」の基準について見ていきます。

「親会社をもしのぐ子会社」の育成事例

中小企業でも、規模が拡大して従業員が100名を超えるようになると、周辺業務を別会社にする企業が見られます。いわゆる社内ベンチャーです。

 

上場企業でも多くの子会社を育成し、ときには親会社をしのぐような企業もあります。たとえば富士通の子会社であるファナックです。ロボットで有名な同社は、株価も2万5000円と非常に高値です。

 

日立も三菱も、かつては1つの事業分野を育て、いくつかの優秀な企業に育て上げてきました。それをさせたのは人材です。

 

中小企業も同様の試みによって子会社を作りますが、成功例は2、3割程度ではないでしょうか。設立当初は赤字企業でも人材や資金や取引上で援助、サポートして黒字企業にと成長させます。その場合には税法上の判断が重要になります。

同族会社に課される税法上の厳しい基準とは?

これらのサポートに伴う人件費をはじめ、各種の費用が寄付金扱いとなり、援助会社の必要経費を否認され、二重の課税パターンになります。同族会社には税法の厳しい「同族会社行為判断」の基準があるため、十分に注意しなければなりません。

 

各子会社がいずれも黒字企業であるなら、各会社間の取引については課税当局も認めざるを得ないケースになることもあります。

 

上場会社の親子会社は連結決算を要求され、人・資本の持ち分、取引等各種の形式実質判断を求められ、粉飾決算が行われていないか、監査法人や公認会計士が目を光らせています。子会社の決算内容により、親会社の決算の内容判断が重要となります。

本連載は、2015年7月30日刊行の書籍『低成長時代を生き抜く中小企業経営9カ条』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

低成長時代を生き抜く 中小企業経営9カ条

低成長時代を生き抜く 中小企業経営9カ条

真下 和男

幻冬舎メディアコンサルティング

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