前回は、不動産の価値を下げてしまう「土壌汚染リスク」について説明しました。今回も前回に引き続き、この「土壌汚染リスク」について見ていきます。

土壌汚染が見つかった場合は適切な措置が必要

前回に引き続き、土壌汚染リスクについて見ていきます。土壌汚染が見つかった場合、すなわち特定有害物質や各自治体が条例で規定する有害物質などが基準値を超えて存在することがわかった場合には、適切な措置を講じることが求められます。

 

具体的には、汚染物質によって人に危害が及ばないようにするために、以下のような対策を行うことが義務づけられています。

 

①舗装

土壌をコンクリートやアスファルトなどで覆う。

 

②立入禁止

周囲に囲いを設けて人が立ち入りできないようにする。

 

③土壌入れ換え

汚染土壌を掘削除去して、汚染されていない土壌で埋め戻す。

 

④盛土

砂利等で覆い、さらに汚染されていない土壌により覆う。

 

⑤土壌汚染の除去

汚染土壌を搬出したり、浄化等を行う。

 

土壌汚染の影響が地下水にまで及んでいるような場合には、これらの対策に加えてさらに地下水の汚染拡大を防止するための処置を行うことも必要になります。

場合によって1000万円を超える費用が・・・

土壌汚染対策を行った場合、その費用がゆうに1000万円を超えることも珍しくありません。また、土壌汚染の有無を確認するための調査にも少なからぬコストがかかります。

 

このように、土壌汚染のリスクのある土地を購入した場合には多額の出費を強いられるおそれがあるために、買い手からは「買ってもいいが、市場価格よりも値段を○千万円下げてほしい」などと大幅な値引きを求められることが少なくありません。そして、ほとんどの場合、売る側は泣く泣くその要求に応じざるをえません。

 

図表のように、土壌汚染の事例は現在、増加傾向にあります。今は住宅街でも、工場の跡地を宅地にしたような場所は、高い確率で土壌に有害物質が含まれていると考えられます。

 

知らず知らずのうちに土壌が汚染された土地を相続するおそれは誰にでもあるといえるのです。しかも、汚染の事実を相続後に知れば、高く売れると思い込んでいた土地が、唖然とするような安値でしか売れず、「これでは相続税を支払えない!」とあわてふためくことになるかもしれないのです。

 

【図表 土壌汚染の件数】

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    本連載は、2016年6月30日刊行の書籍『「相続破産」を回避する地主の生前対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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    加瀬 義明

    幻冬舎メディアコンサルティング

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