カリフォルニア州の不動産価格と「公立学校区のレベル」の関係

成績上位の学校がある地区は、子供にとって治安が良く、暮らしやすい環境であると言えます。今回は、公立学校区のレベルがカリフォルニア州の不動産価格に与える影響について見ていきます。

ハイレベルな学校のある地区は治安が良く、家賃も高価

前回は、サンフランシスコ・ベイエリアの歴史について説明しました。今回は、公立学校区が不動産価格に与える影響についてお話をします。

 

さて、カリフォルニア州にはアジア系人種が多いせいか、教育に熱心な親が多いと感じています。

 

カリフォルニア州では親が金持ちだったとしても、私立に通わせるより、むしろ積極的に公立学校に寄付を行い学校行事に積極的に参加し、学校の役員・先生と極めて頻繁にコミュニケーションをとる傾向にあります。

 

家探しは通勤に便利で治安がよく、子供がいればよい学校区を選ぶ傾向にあります。そのような場所は、他の地域から比べると当然不動産価格そのものが高く、家賃も極めて高いものになっています。

 

1990年代当時、筆者がロサンゼルス駐在時に選んだ学校区の選択肢は、ロサンゼルス郊外パサディナの北にある「ラカニャーダ」、東にある「サンマリノ」、そしてロサンゼルス・ダウンタウンからはかなり遠い、ロサンゼルスの南にある「パロスベルデス」でした。

 

最終的に借家を決めた街は、当時勤務先駐在員がいませんでしたが、日系商社・他金融機関の駐在員が比較的多く住む「ラカニャーダ」でした。ロサンゼルス・ダウンタウンまで片道10マイル(16キロ)のところにあるものの、朝の車通勤は交通渋滞のため1時間程度かかりました。

 

この街は、パサディナにカリフォルニア工科大学とアートセンター芸術大学があり、JPLというカリフォルニア工科大学研究機関(その当時ボイジャー火星探査をここで行っていた)とディズニー本社が近所にあったため、科学者・デザイナー・エクゼクティブ・医者・弁護士等のプロフェッショナルが多く住む街でした。

 

白人の他に、中国・インド・韓国人が多く住んでいましたが、ヒスパニックと黒人はほとんど見かけることがありませんでした。

APIが高い学校のある地区・ない地区では大きな格差が

カリフォルニア州には、API、正式名称「Academic Performance Index」(http://www.cde.ca.gov/ta/ac/ap/という、基準テストをもとに学校の格付けをする評価基準があります。

 

上記で紹介した「ラカニャーダ」「サンマリノ」「パロスベルデス」といった、3つの候補先の2013年時点の過去3年平均のAPIは、次のようになっています。

 

【ラカニャーダ学区】

中高校:936点、小学校:960〜975点

 

【サンマリノ学区】

高校:937点、中学校:973点、小学校:951〜967点

 

【パロスベルデス学区】

高校:893〜904点、中学校:912〜952点、小学校:920〜973点

 

この3候補以外でも、アーケディア、ビバリーヒルズ、サウスパサディナ、テンプルシティ、ウォルナットバレー、マンハッタンビーチ、レドンドビーチ地区は、ロサンゼルスでも900点を越えています。

 

APIは最低200点、最高1000点となっており、加州教育局としては常に800点以上を目指すように指導しています。学校区のすべての学校が900点超となっている学区は大変珍しく、そのような学区は極めて優秀ということになります。その当時もAPIが高く、この20年間高いまま維持されたということになります。

 

さて、シリコンバレー(このレポートでは「サウスベイ」に焦点を当てます)ではどうなっているかというと、900点以上のAPIを獲得している5公立学校区は以下のようになっています。

 

①クパチーノ 962点

②ロスアルトス 961点

③サラトガ 959点

④パロアルト 932点

⑤ロスガトス 929点

 

上記5学区のうち、クパチーノ、サラトガ、ロスガトスの中間住宅価格推移を見てみましょう。いずれも戸建て価格は200万米ドル前後となっています。

 

[図表1]クパチーノの住宅価格推移

 

[図表2]サラトガの住宅価格推移 

 

[図表3]ロスガトスの住宅価格推移

 

[図表4]クパチーノ、サラトガ、ロスガトスの位置情報

 

サンノゼ等その他学区も含んだサンタクララ郡全体では、戸建て価格であっても100万米ドルをやや超える水準となっており、値段に格差が出ています。さらに、上記3都市におけるこの10数年間の値上がり率は、サンタクララ郡の値上がり率の約倍となっております。明らかに学区が良い街の住宅は、高くなる傾向があると言えましょう。

 

[図表5]サンタクララ郡の住宅価格推移

 

サウスベイ以外の地域、サンフランシスコ・マリン・ペニンシュラ・イーストベイ地区でも、デキシ、ミルバレー、リード、ロスバレー、ベルモント-レッドウッドショア、バーリンゲーム、ヒルズボロ、ラスロミタス、メンロパーク、ポートラバレー、サンカルロス、アラメダ、オルバニー、ピーモント、オリンダ、モラガ、ラファイエット、ダブリン、プレゼントン、サンラモン、ウォールナットクリーク学区が900点越えしており、またこれらの地区は同時に高級住宅街でもあります。

 

この話は次回に続きます。

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連載集積するイノベーション産業と頭脳――米国シリコンバレー不動産投資の最新事情

クラウドクレジット株式会社 商品部 商品組成担当マネージャー

北海道出身、一橋大学経済学部卒業。UCLA不動産関連科目履修。
東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)開発金融部海外不動産グループ(米国担当2年半)、ユニオンバンク(7年加州駐在)にて、不動産を中心とした開発金融・アドバイザリー業務を経験。2000年に退職後、ローンスターファンド・ラサールインベストメント等の外資系投資ファンド・日系投資会社、ブルックス・グループで、不良債権・再生・不動産・未公開企業等のオルタナ投融資の実績と経験。2017年7月より、クラウドクレジット商品部にてソーシャルレンディング関連販売ファンド組成業務に就き、現在に至る。

著者紹介

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