相続・事業承継 相続対策
連載相続対策の切り札「プライベートカンパニー」の活用術【第7回】

「建物所有方式」のプライベートカンパニーの概要

プライベートカンパニー建物所有方式

「建物所有方式」のプライベートカンパニーの概要

前回は、相続対策で活用するプライベートカンパニーの4類型のうち「管理方式」「サブリース方式」について解説しました。今回も、その4類型のうち、資産の移転効果が高い「建物所有方式」について見ていきます。

資産の移転効果が高い「建物所有方式」

第三は、「建物所有方式」です(下図表)。土地は被相続人(親)が所有しますが、その土地をプライベートカンパニーが借りてアパートや賃貸マンションを建てたり、あるいはすでにある建物をプライベートカンパニーが取得するのです。

      [図表] 建物所有方式

そして、プライベートカンパニーが入居者やテナントに建物を貸し、賃料収入から役員である相続人(子など)に給与を支払います。賃料の100%がプライベートカンパニーに入るので資産の移転効果が高いといえます。

 

ただし、問題は土地は個人のものなので、ただで借りる「使用貸借」か、地代を支払って「借地」にするかという選択があります。使用貸借であれば地代の支払いはなく、一見いいように見えますが、土地に借地権が発生せず、相続税評価額は自用地でかつ更地のままとなります。

 

それなら借地権を発生させた方がいいと思うかもしれませんが、残念ながら同族の法人と個人の間の借地では評価減は20%しかありません(非同族間の借地であれば住宅地で60〜70%、商業地では80〜90%のことも)。

「土地の無償返還に関する届出書」で課税を避ける!?

それでも土地の評価が20%落ちるのはメリットです。そのためには通常の地代を支払う必要があり、通常の地代の相場は現在、固定資産税の3倍が目安です。少なくとも固定資産税の2倍は支払うべきでしょう。それでもかなり低いはずです。財務上の「相当地代」では、土地価格の6%相当といわれています。

 

もうひとつ注意しなければならないのは、固定資産税の2〜3倍の地代を支払って借地にすることはできますが、その際に権利金の認定課税の問題が出てくることです。新規に借地権を設定する場合、法定更新があり実質上土地は戻ってこないので、権利金を支払う慣習があります。エリアにもよりますが、土地価格の50%もの権利金を支払うこともあるのです。

 

ところが、新設したプライベートカンパニーには通常、そんな資金はありません。そこでよく利用されるのが「土地の無償返還に関する届出書」です。これは、地主と借地人が連名で地元の税務署長に提出し、将来、借地を返す場合には無償で返すこととし、権利金相当額の贈与があったものとしての課税を避けるのです。

 

この場合、プライベートカンパニーと個人との間の土地の賃貸借契約書にも、必ず将来無償で土地を返す旨の特約を入れておくようにしてください。

本連載は、2015年9月19日刊行の書籍『余命一カ月の相続税対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
〈税務の取扱に関する留意点〉
本連載の内容は、平成28年7月現在の税制・関係法令等に基づき記載しております。今後の税制改正等により税務の取扱等が変わる場合もありますので、記載の内容につきましては将来にわたって保証されるものではないことにご注意ください。個別の税務取扱い等については、税理士や所轄税務署等にご確認されることをお勧めします。

福田 郁雄

株式会社福田財産コンサル 代表取締役

1959年生まれ。ミサワホームの資産活用部門責任者、アパマンショップの不動産投資会社の責任者を経験後、2004 年に独立系資産経営コンサルティング会社として、株式会社福田コンサルを設立。特に不動産を活用した相続税対策のコンサルティングに絶大な強みを持ち、17億円も相続税を減らすなど同業他社の追随を許さない専門力を持つ。コンサルティングしてきた資産は総額1200億円超。ファイナンシャルプランナー、公認不動産コンサルティングマスターおよび相続対策専門士統括講師、相続アドバイザー養成講座講師。相続税対策や不動産投資に関する複数の著書あり。

著者紹介

木村 祐司

木村祐司税理士事務所 代表

1967年生まれ。中学卒業後、タンカーの甲板員から始まりブルーカラーの仕事にいくつか従事する中で、給料から天引きされる税金に疑問と興味を持ち税理士を志す。1998年12月税理士試験に合格。当初はコンサルティングファームでファイナンシャルディレクターとしての経験を積み、企業会計実務の知見を得た後に木村祐司税理士事務所を開設、現在に至る。経営者や資産家の財務・税務コンサルティングを強みとし、絶対的な信頼感のもと企業の資金調達、経営管理、節税対策や資産管理、事業承継までを任されている。資産税という枠組みだけでなく、全ての税等(相続税、贈与税、法人税、消費税、所得税、固定資産税、社会保険料等)に関して最適なタックスプランニングを立案し、実行することを最重要視している。

著者紹介

連載相続対策の切り札「プライベートカンパニー」の活用術

余命一カ月の相続税対策

余命一カ月の相続税対策

福田 郁雄,木村 祐司

幻冬舎メディアコンサルティング

突然やってくる“その時”、わずかな時間でできる対策は限られています。しかし、正しいノウハウをもってすれば、相続税対策は2週間程度で完了、相続税をゼロにでき、それどころか、子孫に受け継いだ資産がその後も増え続けて…

Special Feature

2016.12

「法人保険」活用バイブル<書籍刊行>

決算対策、相続・事業承継、財産移転・・・企業とオーナー社長のさまざまな課題解決に、絶大な効果を発揮する「法人保険」の活用…

GGO編集部(保険取材班)

[連載]オーナー社長のための「法人保険」活用バイブル~決算対策編

【第19回】保険のための医的診査 結果が「少し悪い」ほうが社長が喜ぶ理由

GTAC(吉永 秀史)

[連載]法人保険を活用した資産移転の節税スキーム

【第15回】「逆ハーフタックスプラン」活用時の留意点

Seminar information

不動産活用セミナーのご案内

償却メリットを狙った「京都の町家」投資の魅力

~建物比率5割超&4年で減価償却も可能!独自の不動産マーケットを形成する京町家だから実現する投資法

日時 2016年12月10日(土)
講師 平野準

海外不動産セミナーのご案内

償却メリットにフォーカスした「ハワイ不動産」投資の最新事情

~築古木造のタウンハウスで建物比率80%以上。「ハワイの償却物件」の実際と活用法

日時 2016年12月10日(土)
講師 大橋 登

海外活用セミナーのご案内

国際金融都市「香港」で始めるグローバル資産防衛

~本格的な海外投資環境を整えるメリットと現地の最新金融事情

日時 2016年12月10日(土)
講師 長谷川建一

The Latest