前回は、M&Aの成否に大きくかかわるアドバイザーの具体的な選び方について説明しました。今回は、いわゆる「両手取引」のM&Aアドバイザーに依頼するメリットを見ていきます。

選ぶべきM&Aアドバイザーの条件とは?

相性が合ううえに成約率が高く、自社のために親身になってくれるアドバイザーが良いアドバイザーといえます。言い換えればそれは、会社の信頼を損なわずにM&Aを進めてくれるアドバイザーということです。

 

逆に良くないアドバイザーとは、手数料で稼ごうとしたり、そもそも売り手の企業のために親身になってくれたりはしないアドバイザーです。

 

大事な相談のときは、何をおいても飛んできて話を聞いてくれ、的確なアドバイスをしてくれる。いつまでに、どのような条件で会社を売りたい(売れなければマズイ)といった内情をよく理解、共感し、その意を受けて分身として買い手を納得させてくれる。そんなアドバイザーを選んでいくべきです。

売り手と買い手、双方の代理を務める理由

さらに違った観点からも見てみます。

 

当社では、M&Aを進めるとき、多くのケースで「両手(取引)」というスタイルで行っています。両手とは売り手と買い手のこと。つまり、一つの案件で同時に双方の代理を務めるということです。

 

一般論として、両手取引のメリットは二つあります。

 

①アドバイザーが双方の代理を務めるので、話が早く時間が短縮できる

②アドバイザーは売買の双方から報酬を得られるので、それだけ本気になる

 

M&Aでは、両手ではない片手同士のスタイルもあります。売り手にアドバイザーがついているのと同様に、買い手にも専任のアドバイザーがいて、細かな交渉は双方のアドバイザー同士が行うというスタイルです。

 

この場合、両手取引のアドバイザーとは異なって交渉がダイレクトではなくなる分、重大な話は「後日改めて」となることもあり、一般に時間を要するのです。

 

②の点はおわかりいただけると思います。当社もそうですが、売り手の代理だけのケースと比べて約2倍の報酬が得られるわけですから、マッチングも交渉も当然力を入れて最高の組み合わせ、条件を模索するのです。

本連載は、2013年9月20日刊行の書籍『会社を息子に継がせるな』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

会社を息子に継がせるな

会社を息子に継がせるな

畠 嘉伸

幻冬舎メディアコンサルティング

現在、9割の中小企業経営者が後継者不在という問題を抱えています。息子がいない、いても“家業"に興味を示さない、あるいはオーナー社長が手塩にかけてきた会社を任せられるほどの才気がない。だからといって、廃業を選んでし…

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