後継者の選定、組織改革・・・事業承継の具体的な進め方

前回は、「3年かかる」と言われる事業承継を1年で実現するための考え方を説明しました。今回は、事業承継の具体的な進め方を見ていきます。

まずは後継者の選定と経営方針の決定から開始

承継に必要な準備は、大きく分けて7つのステップに分けることができます。

 

①後継者の選定

次期社長を決定し、会社として公表するより前に、近親者・幹部社員の合意を得る必要があります。この段階で後継者を専務など、ある程度の役職につけておくことがスタートです。

 

②新経営方針決定

後継者が経営しやすい会社に変えるために、経営方針を刷新します。その際現経営者が残したい理念は、双方で話し合い合意を得ておくことが後のトラブル回避につながります。①〜②を同時進行で3か月程度で済ませることができます。

 

③業務ノウハウの移行

営業スタイルや経理の方針など、業務の運営ノウハウを後継者に伝授し、理解させておくことで、従業員とのトラブル・意見の食い違いも少なくなります。

 

④組織改革

承継後も円滑に経営できる組織編成をし、現経営者と従業員、幹部間が直接コミュニケーションを取ってしまい後継者が蚊帳の外になってしまわないように、あらゆる情報が後継者に届くような体制を整えます。③〜④を3か月程度で済ませることが理想的です。

会社の経営を維持するという観点で相続対策を

⑤資産整理

個人と会社の資産をそれぞれ洗い出し評価します。中小企業の経営者の場合、個人資産と会社の資産がそれぞれ密接につながっており、混同されている可能性が非常に高いため、これらを明確に分けておくことで、後継者だけでなく親族間も安心です。3か月程度で済ませておくとよいでしょう。

 

⑥相続対策

自社株を買い戻す手続きなど、経営権維持のための相続対策を準備します。これには時間を要するため、⑤と⑦の準備を行っている6か月間を使って万全に準備しておくことが望ましいでしょう。

 

⑦経営交代

④を終えてから後継者の手腕を確認し、課題が出てくればその都度話し合いをしましょう。徐々に出社日を減らし、引退の時期を明確にします。こちらは引退時期にもよりますが、最短3か月程度で可能でしょう。

 

 

以上のことを確認し、事業承継に向けた心構えをしていただけたならば、この連載に示した指針に沿っていざ事業承継への取り組みを開始するスタートラインに立ったといえます。そこでまずは、事業承継にあたって、ご自身の事業、会社はどのような状況か、後継者の方との関係はどうであるか、潜在的なリスクはないのか、現状を把握してみましょう。

 

【図表 承継準備フローチャート】

 

本連載は、2016年6月24日刊行の書籍『たった1年で会社をわが子に引き継ぐ方法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

浅野会計事務所 所長
仰星監査法人 代表社員 税理士・公認会計士

1965年8月名古屋市生まれ。
1990年名古屋大学卒業。監査法人伊東会計事務所(現・あずさ監査法人/名古屋事務所)で10年間実務に従事、ノウハウを学ぶ。2000年2月、 浅野会計事務所を開業。創業以来、200件を超える事業者の適正申告や経営改善、事業承継など様々な側面からサポートを行っている。

著者紹介

連載1年で事業承継を実現するためのトラブル回避法

たった1年で会社を わが子に引き継ぐ方法

たった1年で会社を わが子に引き継ぐ方法

浅野 佳史

幻冬舎メディアコンサルティング

近年、日本の多くの中小企業が承継のタイミングを迎えています。承継にあたっては、親から子へと会社を引き継ぐパターンが多いのですが、親子間だからこそ起こるトラブルがあることを忘れてはいけません。 中小企業白書による…

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