このインフレ時代、私たちはどのようにして資産を管理し、運用していけばいいのでしょうか。 本連載では、投資初心者にとって始めやすい、「株」や「債券」などの投資商品の特徴をわかりやすく解説します。

債券と株式は「2種類のリターン」を持っている

ひと口に「投資」といっても、世の中にはさまざまな種類の「投資」が存在します。本書では、話を分かりやすくするために、「投資」を大きく4つに分けてみます。リスクの低いものから紹介しましょう。

 

1つ目は、投資先が破綻や倒産などをしない限り、元本の返済が保証されている、いわゆる貸金です。満期まで保有した場合、投資家の得る利益は、最初に定めた金利の金額となり、それ以上にもそれ以下にもなりません。銀行預金や国債などの債券がこれにあたります。

 

2つ目は、投資先の事業そのものに出資という形で参加し、事業の利益を分け前としてもらうものです。事業が成功すれば利益は増えますが、失敗した場合には投資した金額よりも少ないリターンしか得られません(元本割れ)。株式やファンド(投資信託)などがこれにあたります。

 

3つ目は、投資先が事業ではなく単なるモノで、そのモノの値動きによって利益や損失が発生するものです。不動産、金(ゴールド)や小麦などの商品、あるいはFXなどの外国為替(外貨)がこれにあたります。購入時よりも価格が上がれば利益が出ますが、価格が下がれば損失となります。

 

4つ目として、競馬や競輪やパチンコなどのギャンブルを入れてもいいかもしれません。なぜなら、これらのギャンブルを投資先として生計をたてている人もわずかながら存在するからです。もちろん、リスクが高いのでお勧めはできません。

 

また、3つ目にあげた金や商品や外貨への投資もリスクが高いものです。なぜなら、これらはただ持っているだけでは投資ではなく所有であり、利益を得るためには値上がりが必要となるからです。

 

これらの金や商品や外貨などの値動きは、あらかじめ予測することもできますが、そのためには膨大な知識と情報と経験が必要となります。そのため、素人が安易に投資に参加しても、プロにかなわないことが多いからです。

 

膨大な知識と情報と経験が必要になるという意味では、3つ目の商品と4つ目のギャンブルとはよく似ています。どちらも、それで生計をたてているプロであれば「投資」として利益を上げることが可能でしょうが、素人がむやみに参加するといちかばちかになりがちです。

 

それに比べて、1つ目の債券と2つ目の株式とは、比較的、素人でも参加しやすい「投資」となっています。なぜなら、債券や株式については、利益を上げるのは投資先の会社の仕事であり、投資家はただお金を出すだけでよいからです。

 

もちろん、お金を出す相手(事業者)が、本当にプロとして確かな腕前を持っているか、あるいは信用に足る相手であるかどうかの見極めは必要です。しかし、3つ目の商品や4つ目のギャンブルのように、実際にゲームに参加することに比べれば、その苦労は大きく減るでしょう。

 

また、債券や株式は、3つ目の外貨や商品のように、値上がりをしたときに売却して利益を上げることもできます。言い換えれば、1つ目の債券と2つ目の株式とは、投資の利回りと、売却による値上がり益との2種類のリターンを持っていることになります。その意味でも、債券や株式は有利な「投資」方法であるといえましょう。

リスクの高い「投機」で個人投資家が稼ぐのは難しい

一般に「投資」商品といわれるもののなかには、ギャンブルのようにハイリスクでハイリターンを狙う「投機」的な商品も含まれています。

 

「投資(investment)」と「投機(speculation)」の違いは、前者が長期的に徐々に利益を重ねていくものであるのに対して、後者は短期的に利ざやを稼ごうとするものです。

 

しかし、短期的な値動きから利益を得る「投機」というものは、リスクが高く、本質的にはギャンブルと変わりがありません。また「投機」には、資本力を持つプロが大勢参加しているので、個人投資家が勝ち続けることは困難です。

 

そのため本連載では、「投機」、つまり3つ目と4つ目については、積極的にはお勧めしません。投資初心者である読者のことを考えて、基本的に1つ目と2つ目の投資方法を中心に紹介していくことになります。

本連載は、2014年7月29日刊行の書籍『インフレ時代の投資入門』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

インフレ時代の投資入門

インフレ時代の投資入門

杉浦 和也・前野 達志

幻冬舎メディアコンサルティング

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