近年のベトナムでは、交通網の整備と平行して大規模な宅地開発・都市開発も進んでいますが、その多くには日系企業が参加しています。今回は、開発が進行している地域と開発案件、それらに携わっている企業について見ていきます。

日本のODA支援で建設が進むメトロ1号線

ITなど先端技術の普及が急激なベトナムですが、それ以外で経済発展を支えるのが交通網の整備です。ホーチミン市では現在メトロ1号線の建設が進んでいます。今のところ2020年末の開業に向けて建設が進んでいます。

 

 

メトロ1号線は、ホーチミン市1区ベンタインとトゥードック区スオイティエンを結ぶ19.7kmを走る都市鉄道です。この計画路線は、1区、ビンタン区、2区、9区、トゥードック区を通りますが、同時並行するように周辺の不動産開発が行われています。

 

この1号線は日本のODA支援で建設が進んでいます。地下区間の建設を清水建設と前田建設工業の企業連合体が請け負っています。地下区間は1区内のみで、ベンタインからバーソン造船所跡地までになります。

 

その造船所跡地付近では、ゴールデンリバーという不動産開発がスタートしました。ビンタン区以北の高架部分は、住友商事がベトナム第六交通工事建設総公社と共同で請け負っています。1区以北は地が相対的に安いこともあり、様々なプロジェクトが進んでいます。さらに機械、電気設備、車両、線路の購入、保守メンテナンスは、日立製作所が手がけていますので、安全な都市鉄道の運行が期待されています。

 

ホーチミン市で建設が予定されているメトロ路線は6路線ありますが、着工されているのは、この1号線とドイツのODAによる2号線(ベンタイン ⇔ タンソニャット空港 ⇔ タムルオン車両基地)の2路線です。

 

1号線はかなり工事が進んでいますが、2号線は最近着工されたばかりです。ただ、今後の鉄道建設は、ホーチミン市の不動産開発に大きな影響を与えるでしょう。鉄道建設が進む沿線は、ますます注目の地域になっていくと思われます。

新規参入が続出する日系不動産デベロッパー

日本企業による大規模な宅地開発の動きが留まりません。最初の動きは、ホーチミン市に隣接するビンズン省での開発計画を実行するため、東急電鉄がベカメックス東急という合弁会社を設立したことから始まりました。現在、同社は新興の宅地開発と並行して、新都市開発事業に着手をしています。

 

それ以降加速するかのように、日本の事業者がベトナムに進出を始めています。

 

不動産投資運用のクリードが、ベトナムの不動産開発大手のアンギア・インベストメントと共同で開発しているアンギア・スカイラインの販売が進んでいます。大和ハウス工業、野村不動産、住友林業の日系三社が、現地不動産開発業者のフーミーフン社と合弁で行う事業も進んでいます。これらはホーチミン市の新興住宅地である7区の開発案件です。

 

 

また、日本のODAで建設が進んでいる地域では、9区に西鉄と阪急不動産が、現地大手不動産開発のナムロン投資と共同でマンション開発事業を展開しようとしています。直近では、サンヨーホームズがベトナムに駐在員事務所を開設し、ベトナム最大手のゼネコン、ホアビン社の投資会社ティエンファット社との共同事業で分譲マンション事業を手懸ける事がプレス発表されました。

 

それ以外にも、三菱商事がシンガポールの不動産開発業者のセムコープ社と共同で、分譲マンションの開発事業を行うことが伝えられているなど、続々と日本企業の参入がベトナム南部ホーチミン市とその近郊で進んでいます。

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