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連載中小企業経営者のための「融資」交渉術【第11回】

融資審査で重要となる申込みの「経緯」「理由」の説明方法

融資赤字企業事業計画書

融資審査で重要となる申込みの「経緯」「理由」の説明方法

前回は、どのような基準で赤字企業が「正常先」「要注意先」と決められるのか、なぜ事業計画書が重要となるのかを説明しました。今回は、銀行が中小企業に対して審査を行う5つの基準のうち、「経緯」と「理由」について見ていきます。

銀行は「5つの基準」で融資を判断する

実際に中小企業から融資申し込みがあった場合、銀行では企業の格付け評価を踏まえて次
のような5つの基準で審査を行う。これらは、融資担当者が稟議書を作成するにあたってのポイントでもある。

 

●第1の審査基準 融資申し込みの経緯

銀行から「借りませんか」と言ってくるケース、企業側が「貸してほしい」と依頼するケース、あるいは継続した取引がある中での新たな申し込みのケース、などがある。一番まずいのは、企業側が突然、支店の窓口に来て融資を申し込むというパターンだ。

 

取引のない企業であれば、決算書を受け取って格付け評価を行うところから始めないといけない。銀行側としては手間がかかるし、何より唐突感が否めない。「よほど困ってのことではないか」と疑ってしまう。

 

新規融資であっても、まずは外回りの営業担当者が訪問し、事業内容や決算の概要など、ある程度その企業のことを理解していることが望ましいと、銀行は考えている。経営者としては、営業担当者と一定の信頼関係を築いた上で、「それじゃ、今度少しお借
りできませんか」といった形で融資の話を持ち出すのがベストだ。

運転資金と設備投資資金は「命綱」となるだけに…

●第2の審査基準 要資事由

簡単に言えば、なぜ資金が必要なのかという理由だ。これには大きく分けて、「運転資金」と「設備投資資金」の2つがある。「運転資金」は、売り上げに対して資金回収が遅れる収支ズレをカバーするための資金だ。

 

例えば、注文を受けて100万円分の原材料を仕入れ、1カ月かかって製品にし、それを150万円で販売して、代金回収は翌月末としよう。このケースでは、仕入れ代金の支払いと売上代金の入金に2カ月のズレが生じる。この間の資金を借りるのが「運転資金」だ。

 

すでに注文はあるので、銀行は積極的に貸そうとする。「運転資金」の融資にあたっては、民間信用調査機関による企業評点も参考にされる。例えば、帝国データバンクの場合、100点満点で55点あればまず大丈夫だ。ちなみに、帝国データバンクの評点はいくつかの項目ごとに付けられた点数の合計で算出される。

 

「経営者」といったあいまいな項目があるので、そこで点数アップを図る会社もあるようだ。なお、「運転資金」に似た「経常運転資金」という融資もある。こちらは売り上げなどの裏付けを伴わない運転資金の調達に用いられるもので、基本的には金融機関が手形によって貸し付ける。3カ月ごとに切り替え、その際に金利のみを支払う。

 

借り入れが多い中小企業にとってはまさに命綱の資金となっている。これらに対し、「設備投資資金」は工場や設備機器の購入のための資金で、借入期間は数年単位となる。かつては長期信用銀行がこうした設備投資資金を貸し出していたが、現在ではメガバンクや地銀でも扱っている。

 

審査にあたっては、「設備投資資金」のほうが当然、長期にわたり金額も大きくなるので審査に時間がかかる。将来にわたっての収支計画など詳細な資料も必要だ。

本連載は、2016年3月2日刊行の書籍『赤字会社を完全復活させる 逆転の融資交渉術』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

久松 潤一

株式会社リーテック 代表取締役社長
資金調達コンサルタント

1971年慶應義塾大学経済学部卒、同年に富士銀行入行。店舗戦略統括として空中店舗、ニューメディア店舗等を開発。その後、市ヶ谷支店長に就任。同支店は全国1位の成績を達成する。1993年に銀行を辞しアレックジャパン設立、現在のQRコードの原型となる技術を開発・販売。2000年リーテック設立、経営コンサルタントとして多数の企業へ累計100億円の資金調達をアレンジ。“銀行員の目”と“経営者の目”を兼ね備えた、資金調達と経営のプロフェッショナル。

著者紹介

連載中小企業経営者のための「融資」交渉術

赤字会社を完全復活させる逆転の融資交渉術

赤字会社を完全復活させる逆転の融資交渉術

久松 潤一

幻冬舎メディアコンサルティング

苦しい経営を続ける中小企業も依然として多い中、企業にトドメを刺すのは資金供給のストップ、すなわち銀行の融資がおりなくなることです。バブル期のように、銀行が「借りてください」と頭を下げるような状況が再び訪れること…

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