今回は、業績発表と実際の株価がどのように連動するのかを見ていきます。※本連載は、IFTA国際検定テクニカルアナリストとして活躍する福永博之氏の著書、『ど素人が読める株価チャートの本』(翔泳社)の中から一部を抜粋し、「テクニカル分析」の基礎知識と分析方法を紹介します。

利益を得ていても株価が上がるわけではない

業績発表と実際の株価を確認してみましょう。以下図表1を参照して下さい。

 

[図表1]トヨタ自動車(7203)の日足チャート

 

例として取り上げるのは誰もが知っているトヨタ自動車です。トヨタ自動車は、2015年5月8日の取引終了後に発表した決算で、営業利益が前期比2%増となり、3期連続の最高益になる見通しだと発表しました。

 

また輸出企業が決算のときに同時に発表している想定為替レートも115円と当時の119円前後(下記図表2参照)より円高に想定していたことから、業績の上振れ期待も残る形になっていました。

 

[図表2]ドル/円の日足チャート

 

そして実際、2015年8月4日の決算発表で、2016年3月期の売上高を上方修正しました。

 

一方、営業利益や純利益などは据え置かれる形となっていました。みなさんはトヨタ自動車をこの発表後に買いますか? また、保有している投資家の方は、持ち続けますか? それとも売りますか? 皆さんの判断はどうでしょうか。

他国の景気や為替も株価に大きな影響を与える

株価をみると、翌営業日に売り気配で始まり、その後は下落する結果となっているのがわかります。また、一旦反発に転じましたが、そのあとは中国景気への不安が台頭して円高に振れたことなどもあって大きく下落してしまいました。

 

もちろん業績そのものの見方についての判断もあると思われますが、ここで注目すべきポイントは、最高益を更新するだろうとみられていたなかで売上高の上方修正の発表を契機に、いわゆる好材料が出尽くしてそこから下落が始まったわけではなく、業績発表の2カ月以上前の5月28日に高値をつけてから株価が頭打ちとなり、徐々に下落基調になってきているところで、損失拡大を嫌った投資家の売り注文が大量に出て株価が大きく値下がりした点にあります。

 

ファンダメンタル分析では期待通り営業利益が上方修正されているにもかかわらず、株価はその前から頭打ちになり、業績発表のあとも株価が重たくなり、上昇できなくなっているわけです。

 

もちろん業績は良いので、どこかで株価は戻ってくると考える投資家が多いと思いますが、こうした値動きをみるにつけ、業績結果に対する判断が難しくなっていると考えられ、果たして本当に業績だけを投資判断のよりどころにしていてよいのかという疑問が湧いてくることになります。

 

特に2014年以降、業績が事前の予想に対して上ぶれたという判断ではなく、アナリストの事前予想を上回ったかどうかがその判断基準になっており、素人にとってはますます判断が難しくなっているというのが現状です。

 

少し話が脱線しますが、アナリストの事前予想がまとまったもののことをアナリストコンセンサスといい、日本経済新聞社などが有料で提供しています。

 

機関投資家と呼ばれる大口の投資家は、こうしたアナリストコンセンサスをもとに売買判断を行っていることが多いのですが、このアナリストコンセンサスの予想は強めに出ていることが多いため、業績の結果が明らかになる前に買われていて、最高益更新でもコンセンサスと同じか、わずかに下回った場合、いわゆる利益確定売りで下落することがあるのです。

ど素人が読める 株価チャートの本

ど素人が読める 株価チャートの本

福永 博之

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