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連載集積するイノベーション産業と頭脳――米国シリコンバレー不動産投資の最新事情【第16回】

サンフランシスコ・ベイエリア発展の歴史とは?

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サンフランシスコ・ベイエリア発展の歴史とは?

不動産投資を行うにあたり、その土地の歴史を知っておくことは大きな意味を持ちます。今回は、サンフランシスコ・ベイエリア発展の歴史を見ていきましょう。

サンフランシスコを成長させた「寛容さ」と産学連携

前回はアパート専業REITを見ることにより、サンフランシスコ・ベイエリアの状況を検証しました。今回はサンフランシスコ・ベイエリア(シリコンバレーを含む)の歴史についてお話しします。

 

ここで申し上げたいのは、19世紀のゴールドラッシュから今に至るまで、成功者の陰に、過去に執着し本質を読めなかった失敗者が数多くいたということ。そして勝者・敗者が入れ替わっても不動産は変わらず存在していたということ。また、成功者を育てたのは技術革新であり、過去に執着しない一種独特の起業家精神だということです。

 

それらを支えたのは、失敗しても出直しがきく法制度(ゴールドラッシュ当時は無法地帯ということでもありますが)、そして、多様性を受け入れる寛容なリベラル派の地であることです。そのおかげで、多くの移民を世界中から呼び寄せることにつながっていったのです。

 

オークランド所在のオラクル・アリーナを本拠地とするプロバスケットボールチームは「ゴールデンステート・ウォーリヤーズ」と命名されています。ゴールデンステートとは日本語にすると黄金の州、カリフォルニア州の愛称です。1848年にサクラメントで金が発見され、翌1849年から始まるゴールドラッシュが名前の由来となりました。

 

もうひとつ、サンノゼの隣街・サンタクララのリーバイス・スタジアムを本拠地としているプロアメフトチームは「サンフランシスコ・フォーティナイナーズ」。2016年2月に行われたスーパーボールの開催地として、記憶に新しい場所です。

 

 

その「フォーティナイナーズ(49年組)」とは、ゴールドラッシュが始まった1849年にカリフォルニアに殺到した人々のことをいいます。

 

ちなみに、サンフランシスコはもともとメキシコ領の小さな漁村で、1848年初ネイティブアメリカン以外の人口は1万4000人しかいませんでした(米墨戦争の結果米国領土となる)が、1849年終わりには10万人、1852年には25万人に膨れ上がりました。

 

1850年にはカリフォルニア州に昇格し、州都は現在のサクラメントではなくサンノゼに置かれました。

 

ゴールドラッシュで当初、金輸送・為替を担った馬車業者・ウェルズファーゴ社は1852年に創業しています。現在も、サンフランシスコ市内金融街、現ウェルズファーゴ銀行本店横にある歴史館には、その当時使われていた馬車・金を量った秤・株券等が陳列されています。

 

 

ウェルズファーゴ社は、大陸縦断鉄道開通に伴い馬車業が衰退したことで金融業を営むようになり、今に至っています。また1873年、炭鉱労働者のために衣類を製造・創業したブルージーンズのリーバイス社もこの地が発祥です。

スタンフォード大学なくしては語れないシリコンバレー

シリコンバレーに多大なる影響を与えたのは、鉄道王であり州知事であったリーランド・スタンフォード氏でしょう。ちなみに、クロッカー氏・ハンティントン氏・ホプキンス氏といった4名のカリフォルニア出身の財産家らは「ビッグ4」と呼ばれており、サンフランシスコ市内の金融街に隣接するノブヒル地区に豪邸を築いたそうです。

 

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大陸横断鉄道の開通式で、ゴールデンスパイクを打つリーランド・スタンフォード氏

 

一人息子を亡くしたスタンフォード氏は、翌年の1891年スタンフォード大学を工学部「鉱山学」から創設しました。大学のモットーは「自由の風が吹く」であり、シリコンバレーの企業が共有する空気の「自由・革新・チャレンジ」に受け継がれています。

 

1920年代、スタンフォード大学がMITより招聘したフレッド・ターマン教授が半導体を発明し、ショックレー研究所(のちのフェアチャイルド・セミコンダクターの生みの親[当社従業員がインテル社・AMD社・KPCB社の創設につなげることになる])の立ち上げに貢献しました。1930年代に同氏は、ヒューレッド・パッカードの創業者を教え子にもちます。

 

 

エスタブリッシュメント(既得権者)が多く住む東海岸の私立大学群、アイビーリーグが文系中心であったことに対して、これらの理系を中心とした産学連携が、1960年代の半導体を扱うマイクロエレクトロニクス関連企業につなげることになり、シリコンバレーの礎を築きます。

 

筆者が勤務した1990年代の前半には、ちょうどシリコンバレーの人口がサンフランシスコのそれをしのぐことになりましたが、未だ半導体市況に左右される市場でした。

 

1990年代の後半から、インターネットが普及するにつれグーグル等が頭角を現すようになり、インターネットから派生したSNS等のあらゆるビジネスモデルが、半導体市況を平準化し、シリコンバレーは中長期的な成長軌道に乗ったのだと考えています。

 

スタンフォード大学が果たした役割は、知の供給だけではなく、技術的にも資金的にも起業家たちを育成する体制を作ったことです。

 

シリコンバレーはスタンフォード大学なくして語れないし、スタンフォード大学のお膝元であるパロアルトが、シリコンバレーの中心地になっていったのも不思議なことではありません。

 

以上いくつかのトピックスは、野口悠紀雄氏著『ゴールドラッシュの「超」ビジネスモデル』(2005年9月:新潮社)から引用しています。シリコンバレーの過去の逸話をもうすこし知りたいのであれば、お時間のある時にこの本を是非読んでみてください。

小川 謙治

加州法人BROOKS ASSET MANAGEMENT, INC. オーナー&創業者

北海道出身、一橋大学経済学部卒業。UCLA不動産関連科目履修。
東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)開発金融部海外不動産グループ(米国担当2年半)、ユニオンバンク(7年加州駐在)にて、不動産を中心とした開発金融・アドバイザリー業務を経験。2000年に退職後、ローンスターファンド・ラサールインベストメント等の外資系投資ファンド・日系投資会社で、不良債権・再生・不動産・未公開企業等のオルタナ投資の実績と経験を積む。2008年6月よりクロス・ボーダーを中心とした投資アドバイザリー業務を行うべく独立、ブルックス・グループを起業し、現在に至る。

著者紹介

連載集積するイノベーション産業と頭脳――米国シリコンバレー不動産投資の最新事情

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