孫本人には知らせずに財産を贈与する方法

前回は、「遺言代用信託」活用のメリットを説明しました。今回は、当事者には知らせずに財産を贈与する方法について見ていきます。

信託契約は「委託者」と「受託者」の契約

前回に引き続き、信託を活用した具体的な事例を見ていきます。

 

【ケース3】

孫に財産を生前贈与したいのですが、大きな財産をもらうと、孫がそれを当てにしてがんばらなくなるのではと心配。

 

孫に贈与したいが、多額の贈与をすることが孫にとっていいことなのか迷っている、というお話をよく耳にします。このような場合にも信託を活用することができます。

 

贈与契約は、贈る側、もらう側双方の合意が必要な「双務契約」ですから、贈る側だけの考えでは成立しません。必ず、もらう側の同意が必要となります。

 

これに対し、信託契約は、あくまでも信託の委託者と受託者の契約となります。孫は、利益を得る受益者となりますが、この信託契約書に「受益者に対して受益者となったことを通知しない」と定めることが可能です。

 

つまり、孫に贈与したことを伝えなくても、信託契約により孫が受益者となるので、実質的には財産を贈与することができるのです。

 

〈ポイント〉

①信託を活用すれば、子どもに知らせずに財産を贈与することができる。

②贈与した財産の管理・運営を、贈与後も引き続き親が行える。

 

【図表 贈与と信託の違い】

本連載は、2014年3月20日刊行の書籍『家族と会社を守る「不動産」「自社株」の相続対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

税理士法人さくら会計 所長

1970年に事務所を設立し、大阪・京都・兵庫を中心に活動。豊富な税務知識と遺産分割・事業承継等の専門知識をもとに、顧客の資産を総合的に分析し、それぞれに適した資産分割・活用の提案を行っている。

著者紹介

連載後代まで財産を守る「信託」の活用法

家族と会社を守る 「不動産」「自社株」の相続対策

家族と会社を守る 「不動産」「自社株」の相続対策

貝原 富美子・澤田 美智

幻冬舎メディアコンサルティング

相続において、トラブルになりやすい二大財産である「不動産」と「自社株」。 税理士として長年、不動産・自社株の相続を専門的に解決してきた著者だからこそいえる、実際にあった事例を交えわかりやすく解決策を提示します。…

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