前回は、超高層タワーマンションのデメリットを説明しました。今回は、マンションの「充実した共有施設」に潜む罠を見ていきます。

共有施設があればあるほど「分譲価格」に跳ね返る?

少しやりすぎかな・・・と最近目につくのは、大規模物件や超高層マンションでセールスポイントとしている「充実した共用施設」です。

 

パーティールーム、ゲストルームなどの一般的な施設はもちろん、最近ではスポーツジムや共同浴場、カフェやバーといった変わり種施設を売り物にするマンションも登場しています。パンフレットでは楽しそうなイメージ写真でそのメリットが謳われ、つい充実した共用施設は生活を豊かにしてくれると思ってしまいます。

 

しかし、これらの施設は本当に必要でしょうか。

 

まず、金銭面で考えると、共用施設はあるだけで分譲価格に跳ね返ります。たとえば、100坪のスポーツジムを作るために建築費が坪あたり50万円ならば、建物代は5000万円になります。そこに2000万円で最新の各種トレーニング機器を導入すると合計額は7000万円。200戸のマンションであるとすると、1戸あたり35万円が販売原価に上乗せされます。

 

もちろん、スポーツジムを作るようなマンションであれば、共用施設がそれだけということもなく、そこにパーティールームやゲストルームなどの建築費も加わり、1戸あたりの負担額はさらに大きくなります。まずは、それだけの費用を払うほど、これらの施設に価値があるかを考える必要があります。

管理費や修繕費として施設費を払い続けることに・・・

ちなみにローンの返済額が100万円増えると、35年返済、金利3%の場合では毎月4000円、年間4万8000円を余分に払う計算になります。

 

購入金額が高くなるだけならよしとする考えもありますが、その施設を維持する管理費や修繕費も徴収されるはずです。買った時に払い、入居してからも払い続け・・・と、共用施設は住んでいる限り、お金がかかるものなのです。

 

中には利用料収入があるから、それで賄えると説明する営業マンがいるかもしれませんが、200戸や500戸のマンションでカフェが維持経費を捻出するための売り上げを確保するのは困難なはずです。またコンビニなども同様です。成り立たない部分は管理費からの持ち出しになる可能性は見逃せません。

 

この話は次回に続きます。

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    本連載は、2011年3月23日刊行の書籍『本物マンション購入計画』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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