今回は、売買タイミングの重要性を見ていきます。※本連載は、IFTA国際検定テクニカルアナリストとして活躍する福永博之氏の著書、『ど素人が読める株価チャートの本』(翔泳社)の中から一部を抜粋し、「テクニカル分析」の基礎知識と分析方法を紹介します。

株価は決算発表、世界情勢など様々な要因で変化

前回までは、なぜテクニカル分析が必要かについて簡単にお話ししてきましたが、ここではさらに具体的に売買タイミングがなぜ必要で、重要なのかについて詳しくお話ししたいと思います。

 

まず考える必要があるのは、企業の業績発表と価格の推移についてです。売買タイミングと業績にどのような関係があるのか疑問に思うかもしれません。

 

なぜなら、業績が良い銘柄の場合、ファンダメンタル(企業の業績や投資計画などのこと)は日々変化しているわけではありませんから、バイアンドホールド(=買ってそのまま保有する)というのが一般的な考え方だからです。

 

業績発表が行われる回数は、四半期ごとですので年4回ということになりますが、ファンダメンタルで投資判断を行う場合、年4回だけ業績結果を確認し、業績に変化がなければそのまま保有しておくことになるでしょう。ただ、株価は決算発表のとき以外にも動いています。

 

また、個別企業のニュースや、世界情勢など外部環境の変化にも左右されます。そのため、年4回の決算発表のとき以外にも、日々の値動きがあると同時に上昇や下落を繰り返していることを頭に入れておく必要があるのです。

 

さらに、四半期ごとに業績を確認して、企業業績の進捗率の進み具合から保有し続ける株や、売ってしまった方がよい株、あるいはこれから買って持った方がよい株など、ポートフォリオ(複数の保有銘柄)の入れ替えを行うことが、売買のタイミングとして考えられます。

売買タイミングに無頓着だと「塩漬け銘柄」に・・・

しかし、「価格の変動がランダムだ」と考えている人や、「業績が良ければいつかは上昇するのだから細かい値動きにとらわれず保有しておけば、いつ買っても同じだ」と考えている投資家は、売買タイミングに無頓着だった場合、どうなってしまうのでしょうか?

 

例えば、1989年12月に、日経平均株価が取引時間中の最高値、3万8957円44銭をつけてから業績の悪化に気付いても時すでに遅し。保有株の含み損が拡大してしまい、損失覚悟で売却するか、いつかは戻ってくるだろうと信じて保有し続ける(塩漬けにする)しか方法がなくなってしまうことでしょう。

 

また、実際に日経平均株価に関していえば、2015年6月に年初来高値2万952円71銭を取引時間中につけましたが、最高値の水準から54%弱の水準までしか戻っておらず、長期投資でバイアンドホールドという考え方を持っている投資家が多いと思いますが、実際の値動きは決してそういう単純なものではないことがわかります。

ど素人が読める 株価チャートの本

ど素人が読める 株価チャートの本

福永 博之

翔泳社

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