前回は、不動産投資をはじめる際の初期設定で行う「3つ」の重要項目を取り上げました。今回は、購入する土地を選ぶ際のポイントを見ていきます。

生活に不便な立地は賃貸需要に大きく影響

前回に引き続き、物件保有後の経費がかからないように事前に調査すべきことについて見ていきます。

 

まず、事前調査事項①の「物件」についてです。土地と建物でリスクの見方が違うので、分けて考えていきます。土地で気を付けなければならないのは「立地」「道路」「大きさ」です。

 

●土地を見分けるポイント① 立地

 

立地ですが、物件の所在地は保有期間中ずっと変わらないものです。はじめに近隣の駅、バス停、学校、コンビニ、スーパー、敷地外駐車場を確認しておくことが重要です。

 

立地に無理があり、生活に不便であれば賃貸需要に影響し、すなわち収益性は悪化します。そのような物件は高利回りで購入しなければなりません。ただし駅から遠くてバス便であっても、生活利便施設(ショッピングモール、スーパーなど)が近隣にあるなどといった理由で賃貸需要を確保することができます。そのため、まずは物件の周囲をくまなく確認する作業が必要です。

 

物件の周囲を調べるには、「実際に現地へ行くこと」です。町の雰囲気を確認するには、車で回るよりも歩き回る方が、細かいポイントに気付くことができます。また、地元の不動産賃貸仲介会社を訪問し、購入を検討しているのだが物件についてどう思うか、と相談してみるのも良いでしょう。

 

地元の賃貸営業マンは、物件の近辺に何があるかということや、購入を検討しているライバルが何人いるなどといった周辺情報を把握しています。最初の一歩を踏み出すには勇気が必要かもしれませんが、プロの意見を聞くことで物件の概要がより詳しく見えてきます。

どんな道路が何m接しているか売買金額は変わる

●土地を見分けるポイント② 道路

 

次に道路付けの話ですが、何mの道路に何m接しているかで、次の建て替え時に建築できる建物の容積率(複数階である場合の全室の床面積。土地の面積に対して何%まで建てられるかを表すもの)が決まります。

 

例えば、商業地で建ぺい率(複数階である場合一番大きい床面積の定め。土地の面積に対して何%まで建てられるかを表すもの)80%、容積率400%の土地があったとします。

 

接道が12m以下の道路であった場合、容積率は240%に下がってしまい、建築できる面積も40%下がってしまいますが、接道がよく、国道などに面している場合は高層マンションの建築が可能であり、土地の売買金額も高くなります。反面、これは特殊な考えかもしれませんが、接道が建築基準法第43条の但し書き道路である場合、建築は可能でありますが、難易度が高く一般人には嫌がられるため、むしろ安く購入できる可能性があるのです。

 

購入する土地にどのような道路が何m接しているかによって、また建売用地が二つになるか、三つになるかで、土地の売却金額が大きく変動してきます。きれいに複数の用地になる場合は高値売却も可能になってきますので、道路付けをあらかじめ確認しておかなければなりません。

過去の測量図で売買された土地面積は実際と違うことも

●土地を見分けるポイント③ 大きさ

 

最後に土地の大きさですが、売買する土地の面積が本当に正しいのかどうか、仲介会社に確認することは非常に重要な作業です。

 

不動産の売買の中で測量して引き渡しする方法と公募売買(登記上の面積、もしくは過去の測量図で売買すること)の2種類があります。公募で売買するケースが非常に多くありますが、境界が確定されているかどうかを確認して購入することが重要です。

 

実際私たちも、購入した物件を確定測量してみると、66坪も土地が増えた例がありました。これは「縄のび」といって、周囲の土地がどんどん建売用地になって公募売買されていき、最後に残った土地がサイズアップしてしまったという相当に珍しいケースですが、これが66坪減ってしまったときのことを考えるとぞっとします。

 

土地で考えた場合、長期で賃貸運営をした後、再度アパートを建設する、建売用地、アパート用地として売却するなどいくつかの選択があります。いずれにせよ、そのときに少しでも高く売れるように、用地面積を正確に確認して購入するようにしましょう。

 

 

土地を購入して建売事業をしている建設会社側から考えてみましょう。建設会社は少しでも多くの建物を建てることで、収益性が上がります。

 

世田谷エリアであれば交通機関が発達しているので、車ニーズは少なく、20坪から建売が可能で狭小地に3階建てを建設する会社が数多く存在します。反面、八王子、相模原などの郊外のエリアであれば、駐車場が2台分とれる40坪の敷地がないと建売住宅の販売は難しいといえます。

 

八王子、相模原エリアなどは駐車スペースが必要なことを生かし、低層住居専用地域である建ぺい率40%・50%、容積率80%の高層が建てられないエリアの安く広い土地の収益物件を買い、出口として建売用地を見据えることも良い投資方法です。

 

都内ではまだまだ建売ビルダーが建築できない狭小地が流通していますので、容積率が高い土地を選定し、戸建てやアパートを建てる「出口」を考えるのは有効な出口戦略といえるのではないでしょうか。

本連載は、2016年5月31日刊行の書籍『不動産投資は「土地値物件」ではじめなさい』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

不動産投資は「土地値物件」で はじめなさい

不動産投資は「土地値物件」で はじめなさい

菅谷 太一

幻冬舎メディアコンサルティング

「区分マンションは初期投資が少ない=ローリスク」 「都心の新築物件は空室率が低い=ローリスク」 そう思い込んでいませんか? 不動産投資成功の必須条件はきちんとした投資目線を持つことです。 本書では“儲かる”物件…

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