不動産投資は購入することが目的ではなく、「運用益」を出すことが目的です。本連載では、不動産投資の基本的な仕組みと、安定した賃貸経営を行うためのポイントを紹介します。

不動産投資の特徴をつかめば優位性を発揮できる

不動産投資は長期間にわたる投資であるため、成功しているのかうまくいっていないのかが売却するまで不確定の部分があります。特に退去に伴う修繕費、入居経費は賃貸経営における出費に大きな影響を及ぼし一時的に赤字になる場合も出てきます。

 

しかし、不動産投資は初期の物件の選定を間違えず、運用、出口のポイントをきちんとおさえ、長期的視点で見れば確実な収益を生んでくれる最優良投資であるといえます。そこで本連載では、まずはじめに不動産投資の最も基本的な運用の仕組みをおさえ、その上でどのようなポイントに注目すれば安定した賃貸経営を行うことができるのかをご紹介していくことにしましょう。

 

本連載で不動産投資の運用を説明する上でまずお伝えしたいのが、不動産投資には株式などの投資にはない独特の特徴があるということです。その特徴をつかみ、適正に投資を行うことにより、株式投資や投資信託と比較しても優位性を発揮できますので、その特徴を具体的にお伝えしていきたいと思います。

不動産の優位性は長期借入によって投資ができる点

●不動産投資のメリット①

ローリスクである

まず、不動産投資の優位性は、融資が組みやすいため他人のお金で運用しやすい(投下自己資金が少ない)ということです。では株式投資は長期借入ができないのかというと、そんなことはありません。筆者は株式投資には元本保証がないということ、そしてプロでも難しいという理由で、借入資本による運用はお薦めしません。

 

現在多くの方がFX、投信などに借入資本で運用しています。特に日本はアベノミクスの影響により日経平均2万円を突破し、多くの投資家が株の上昇に博打を打っていました。筆者のお客様や銀行の方からも、株式、投信で儲かったという話を多く聞きました。

 

しかしそのすぐ後、中国経済の先行不安から日経平均は約20%も急落し、株のマーケットは崩れました。筆者の知り合いで、アベノミクスにより自己資金500万円、33倍のレバレッジ、3点に集中投資をしていた人は、3銘柄平均で13.8%もの急下落が発生しました。つまり500万円×33倍×0.138=2277万円が一夜にしてすっとんだのです。信じられますか?

 

その方は自分の資産を投げうって株式投資から辞退しましたが、このように経済変動で株のマーケットは急変しますので、株式投資は本当に難しいものです。自分の保有している金融資産以上に運用するのは、状況によっては破産を招くハイリスク投資となってしまうのです。

 

一方、不動産投資の場合、土地と建物という有形物ですので価値が急激にゼロになってしまうという危険性は、震災等がない限りありえませんし、なにより土地、建物を担保にして銀行が融資をしてくれるというメリットがあります。

 

毎月の返済金額に対して、家賃で確実に返済できる目途が立っている投資であれば、アパートローンが完済されたときには少なくとも土地、そして築古ではありますが建物が残ります。土地、建物という元本保証があるという信用を使って、長期の借入により投資できるのが不動産の優位性なのです。

 

それではまず、株式、投信の投資に対する自己資本の必要性をみてみましょう。条件は年間100万円の運用益(キャッシュフロー)を得ることが目的、年間利回りは2%で運用、売り買いはなく1年通年で保有した場合。

 

A×2%=100万円 A=5000万円

 

投下自己資金Aは5000万円となり、元本リスクを考えるとすべて自己資金が必須と考えざるを得ません。不動産の場合で総額の9割融資が組めたとしますと、土地値であれば、

 

自己資金(5000万円×0.1)+借入(5000万円×0.9)×2%=100万円

 

株と比較し、自己資金は10分の1の500万円で運用が可能です。

 

不動産のインカムゲインは借入総額の2%の経常利益を得られれば「合格」だという通説がありますが、借入資本で運用でき、資産性があるところにメリットがあります。ただし、いわゆるアパートローンは借金です。そのため、「借りられればいい」ということではなく、収入と返済のバランスが非常に重要です。のちほど利回りの項で、収入と返済のバランスについてお伝えしたいと思います。

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    本連載は、2016年5月31日刊行の書籍『不動産投資は「土地値物件」ではじめなさい』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

    不動産投資は「土地値物件」で はじめなさい

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    菅谷 太一

    幻冬舎メディアコンサルティング

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