不動産 国内不動産
連載年収1000万円から始める「アパート事業」による資産形成入門【第37回】

「出口戦略」より「キャッシュフロー」が重要な個人の不動産投資

アパート事業ファンド出口戦略

「出口戦略」より「キャッシュフロー」が重要な個人の不動産投資

前回は、投資用物件を購入する場合、どこを選べばいいのかを説明しました。今回は、個人の不動産投資家にとって出口戦略がそれほど重要ではない理由について見ていきます。

出口戦略が必要なのは短期の資金調達を行う不動産会社

「不動産における出口戦略はどう考えるべきか?」という質問をたびたび受けます。「出口戦略」とは、物件を取得してから一定期間の後、売却することです。しかしアパート事業は、基本的に一定期間が経過したからといって、物件を売却する必要があるというものではありません。つまり、出口戦略は必ずしも必要ないというのが筆者の考え方です。

 

このような質問の背景には、ファンドの影響があると思われます。投資家からお金を預かって一定期間内に元金を償還(利益確定)するファンドの場合、たしかに出口を考える必要があります。たとえば、5年後に預かった元金を償還するには換金化、つまり物件の売却が必要です。また、このようなファンドの運用においては、5年間のファイナンスを引いている(5年後に返済するという条件で借入をしている)ため、ファイナンス面からも売る必要があります。

 

一方の、個人におけるアパート事業の場合はどうでしょうか。自己資金の部分について、人のお金を預かって運用している例はまずないでしょう。全額自分の手元資金を投入しているケースがほとんどです。そして、融資を短期で引いている方もまずいないはずです。基本的には、20~30年の長期で融資(アパートローン)を受けているケースが大部分です。

 

つまり、前提条件がファンドと個人とでは全く異なり、さらにいえば、目的が違う投資を行っている両者が、同じ「出口戦略」という考え方を持つことには無理があります。極論すると、出口戦略が必要なのは、ファンドや転売を目的として超短期の資金調達を行う不動産会社だけです。

個人投資家はキャッシュフローのほうが重要

また、物件取得時に5年後の売却想定価格を設定することは現実的ではありません。1億円で買った物件を5年後に1億2000万円で売却するという「出口戦略」は実現性が低いからです。実際このような机上の空論で出口戦略を設定して投資を行っていたのがリーマンショック前のファンドです。

 

現在では、1年後の価格も予想はできません。上がるかもしれないし下がるかもしれないのが現実です。大切なのは、机上の空論である出口戦略を設定することではなく、所有している間にキャッシュフローがきちんと回ることではないでしょうか。

 

もちろん、保有している期間中に、高く売れる市況となった時に売却という選択肢を探ることは有効です。実際、当社のお客様でもリーマンショック後の安いタイミングを見極め、購入後2~3年で売却して利益を出した方もいらっしゃいます。但し、それはあくまでも予想できるものではないので、長期保有を前提とした取組みをしたなかでの方針変更(売却)というスタンスです。

 

個人投資家は無理に出口を設定する必要は必ずしもなく、きちんとキャッシュフローの回る物件を長期の資金調達にて取得することが重要だといえます。

 

【図表 ファンドと個人投資家の違い】

本連載は、2012年6月27日刊行の書籍『年収1000万円から始める「アパート事業」による資産形成入門 [改訂版] 』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
本書は情報の提供及び学習を主な目的としたものであり、著者独自の調査に基づいて執筆されています。実際の投資の成功を保証するものではなく、本書を用いた運用は必ずご自身の責任と判断によって行ってください。本書の内容に関して運用した結果については、著者及び幻冬舎グループはいかなる責任も負いかねます。

大谷 義武

武蔵コーポレーション株式会社 代表取締役

昭和50年 埼玉県熊谷市生まれ。東京大学経済学部卒業後、三井不動産株式会社に入社。同社にて商業施設(ショッピングセンター)やオフィ スビルの開発・運営業務に携わる。平成17年12月同社を退社し、さいたま市において有限会社武蔵コーポレーション(現在は株式会社)設立。代表取締役に就任。賃貸アパート・マンション(収益用不動産)の売買・仲介に特化した事業を開始する。

著者紹介

連載年収1000万円から始める「アパート事業」による資産形成入門

年収1000万円から始める 「アパート事業」による資産形成入門

年収1000万円から始める 「アパート事業」による資産形成入門

大谷 義武

幻冬舎メディアコンサルティング

大企業でも倒産する現在、自分の身は自分で守るべく、副収入としての投資を考える人が増えています。そんななか、アパート事業による資産形成の火付け役となった本書が、改訂版としてパワーアップいたしました。不動産会社の選…

Special Feature

2016.12

「法人保険」活用バイブル<書籍刊行>

決算対策、相続・事業承継、財産移転・・・企業とオーナー社長のさまざまな課題解決に、絶大な効果を発揮する「法人保険」の活用…

GGO編集部(保険取材班)

[連載]オーナー社長のための「法人保険」活用バイブル~決算対策編

【第19回】保険のための医的診査 結果が「少し悪い」ほうが社長が喜ぶ理由

GTAC(吉永 秀史)

[連載]法人保険を活用した資産移転の節税スキーム

【第15回】「逆ハーフタックスプラン」活用時の留意点

Seminar information

不動産活用セミナーのご案内

償却メリットを狙った「京都の町家」投資の魅力

~建物比率5割超&4年で減価償却も可能!独自の不動産マーケットを形成する京町家だから実現する投資法

日時 2016年12月10日(土)
講師 平野準

海外不動産セミナーのご案内

償却メリットにフォーカスした「ハワイ不動産」投資の最新事情

~築古木造のタウンハウスで建物比率80%以上。「ハワイの償却物件」の実際と活用法

日時 2016年12月10日(土)
講師 大橋 登

海外活用セミナーのご案内

国際金融都市「香港」で始めるグローバル資産防衛

~本格的な海外投資環境を整えるメリットと現地の最新金融事情

日時 2016年12月10日(土)
講師 長谷川建一

The Latest