今回は、様々な問題を抱える「不動産の共有状態」を解消する方法を見ていきます。※本連載は、株式会社フジ総合鑑定の代表取締役・藤宮浩氏と、税理士・髙原誠氏の共著、『日本一前向きな相続対策の本』(現代書林)の中から一部を抜粋し、不動産を相続する際に知っておくべきこと・実践するべきことをご紹介します。

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共有状態を解消する方法は「5つ」

①共有物を分割する

 

共有者の持分に応じて分割し、単独所有にする方法です。土地の共有物解消に適しています。

 

②共有持分を贈与する

 

共有持分を他の共有者に贈与する、または他の共有者から贈与を受ける方法です。贈与税申告・登記・不動産取得税の負担等がありますので、基礎控除や各種特例等を考慮して、一回の贈与額や贈与の回数等をシミュレーションする必要があります。

 

③共有持分を譲渡する

 

共有持分を他の共有者に譲渡する、または他の共有者から譲渡を受ける方法です。贈与の場合と同様に、譲渡所得税申告・登記・不動産取得税の負担等がありますので、譲渡を行うタイミングや金額、特例適用の有無等を検証する必要があります。

 

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④共有者全員で売却する

 

売却価額から諸経費を引いた金額を、持分に応じて分配する方法です。これが可能であれば、最も不公平感がなく、簡便かつ高く売却できると言えるでしょう。

 

⑤共有持分を交換する

 

「固定資産の交換の特例」を適用します。例えば、共有状態にある土地が2つ以上ある場合、自分が所有する土地の共有持分と、共有者の土地の共有持分を交換することにより、譲渡所得税の負担なしに、それぞれの土地を単独所有とすることができます。

 

<交換の税務上の要件>

 

交換の税務上の要件の概要は次の通りです。

 

(1)交換により譲渡する資産及び取得する資産は、いずれも土地と土地、建物と建物のように互いに同じ種類の資産であること。

 

(2)交換により譲渡する資産は、1年以上所有していたものであること。

 

(3)交換により取得する資産は、交換の相手が1年以上所有していたものであり、かつ交換のために取得したものでないこと。

 

(4)交換により取得する資産を譲渡する資産の交換直前の用途と同じ用途に使用すること。

 

(5)交換により譲渡する資産の時価と取得する資産の時価との差額が、これらの時価のうちいずれか高い方の価額の20%以内であること。

 

※なお、この特例が受けられる場合でも、交換に伴って相手方から金銭などの交換差金を受け取ったときは、その交換差金が所得税の課税対象になります。

「相続が起こってからでは遅い」と心得ておく

借地・底地問題においても、共有問題においても、世代交代が進むほどに過去の経緯がわかりにくくなり、問題に発展しやすいものです。ところが、「面倒だから」と後回しにされ、放置されている場合が少なくありません。あなたが元気なうちに、きちんと見直し、対策をしておくのが賢明です。

 

底地の賃貸借契約書の整備や交渉をするには、双方の理解が必要です。ご自身で交渉するよりも、第三者である代理人(専門家等)に依頼する方が精神的な負担も軽く、スムーズに行くことも多いでしょう。

 

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何もしなければ問題が表面化しないという見方もできますが、「何も起こらないから問題がない」のではなく、「起こったときでは遅い」からこそ、早めに行動することをおすすめします。

 

問題の種を解決しておくことで、残りの人生を安心して過ごすことができますし、ご家族からも感謝されることでしょう。

 

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藤宮 浩・髙原 誠

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喜寿・米寿を迎える世代のみなさま、すなわち70代や80代で、まだまだこれから人生を楽しむ皆様には不動産などの財産をお持ちであれば、早めの相続対策をおすすめします。 相続対策には様々な方法がありますが、それぞれに効果…

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