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連載「マイナンバー時代」に必要な相続・贈与の基礎知識【第3回】

マイナンバー時代を迎えて「隠し財産」はどうなるのか?

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マイナンバー時代を迎えて「隠し財産」はどうなるのか?

今回は、いわゆる「隠し財産」はマイナンバー時代にどうなるのかを見ていきます。※本連載は、弁護士・叶幸夫氏と、税理士・山下薫氏の監修書籍、『マイナンバーでこう変わる!遺産相続:遺言書の書き方から節税対策まで』(徳間書店)の中から一部を抜粋し、今から心得ておきたい新時代の相続・贈与の基礎知識を紹介します。

マイナンバーで親子間のお金の流れは簡単に把握される

認知症などで財産を管理できなくなった親の財産を、子どもが管理することはよくあります。「成年後見人制度」と言いますが、弁護士などの成年後見人が、依頼人の預金を勝手に引き出して問題になる例がしばしば起きています。

 

しかし、実の息子が同じことをした場合、今までは見逃されてしまうことも多く、相続税対象になる親の財産が知らぬ間に減っていたというケースもありました。とくに、親子だからと信頼して、成年後見人契約を結んでいない場合です。

 

チェック機能が働かなかったので、親の通帳や印鑑を預かった子どもが、ほかの相続人に内緒で、自分の口座に入れてしまったり、自分名義で不動産を購入したりしてしまったのです。このように、内緒で作った財産を「隠し財産」と言います。

 

親の知らないところで、このような行為をすれば、それは明らかな犯罪です。法的には、「不当利得」と言いますが、わかりやすく言えば、「窃盗」なのです。

 

[ここがポイント]

ほかの相続人に内緒で、親の通帳から勝手に引き出して、自分の通帳に入れたり、不動産を購入したりしたら、それは「不法行為」です。

 

もし、親が承知している場合でも、贈与税を支払わなければ、脱税行為として糾弾されるでしょう。税務署は、その道のプロであり、財産に関する情報をしっかり把握しています。

 

したがって、親の死亡後、相続税の申告状況を見て、すでに得ている情報より財産が少なければ徹底的に調査され、そのほとんどが露見しています。

 

マイナンバーが導入されれば、露見率はさらに高まるにちがいありません。親子の間の金銭の流れが容易にわかってしまうからです。さらに言えば、預金だけではなく、不動産や債権などの金銭以外の財産も、マイナンバーと結び付けられる可能性は高いでしょう。

 

[ここがポイント]

たとえ、親が承知の上でしたことでも、こうして作った財産には贈与税が課されます。親の死後の財産状況が不自然であれば、すぐに露見するでしょう。

 

ですから、いわゆる「隠し財産」を作ることは、ますます難しくなるにちがいありません。

親の隠し財産を見つけたら「修正申告」を

また、被相続人である親が「隠し財産」を作っていることがあります。思いがけず現金やゴールドバー、あるいは、貸金庫の鍵が出てきて開けてみたら高額の株券が出てきたなど、親の隠し財産が見つかることがしばしばあるのです。

 

そういうときには、やはり、相続人同士で相談し、税務署に申告すべきです。そうすれば、それは過失と見なされ、修正申告をするだけで済むからです。

 

もし、隠していて、税務署の調査で露見してしまったら、それは、故意にやったことと見なされ、多額の追徴金が課されるでしょう。

 

[ここがポイント]

とくに、マイナンバーと結びつけられれば、こういう「隠し財産」は作れなくなるでしょう。親子間のお金の流れは容易に把握されてしまうからです。

 

中には、相続税を軽減したいがために、マイナンバーと結びつかない現金で持っていようという方もいるかもしれません。相続財産が不自然に少ないということにならなければ、それも不可能ではありません。

 

しかし、このような「タンス預金」は、盗まれる恐れがあります。やはり、相続すべき財産があることに感謝し、正当な相続税を支払うことをお勧めします。財産隠しは割りにあわないと肝に銘じるべきでしょう。

 

本連載は、2016年2月29日刊行の書籍『マイナンバーでこう変わる!遺産相続:遺言書の書き方から節税対策まで』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

叶 幸夫

弁護士

京都大学法学部卒業。昭和52年東京弁護士会に登録。半世紀に及ぶ幅広い弁護士活動の中で、社会的にも大きな影響を与えたさまざまな事案に関わり、その手腕を評価される。とくに個人・法人の個別案件に関しては、法律問題になる前の“予防法学”的な指導を心がけ、「弁護士のいらなくなる弁護士」を目指す。近年ではマイナンバー制度など法律環境の変化を的確に読み込んだ財産管理、相続・贈与・遺言などに関しても親身な相談に定評がある。

著者紹介

山下税理士事務所 所長・税理士

1964年愛知県生まれ。横浜国立大学経営学部卒業後、 キヤノン販売(㈱(現キヤノンマーケティングジャパン㈱)入社。 結婚、退職、出産を経て、1999年税理士試験合格。 2001年横浜市にて税理士登録・開業。 個人の相続税、中小企業の税務・会計コンサルティングの他、 他士業との提携によるワンストップサービスを行っている。

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