浪費癖のある子供に無駄遣いさせることなく財産を渡すには?

今回は、浪費癖のある子供の将来の生活を守るために、民事信託の財産管理機能を利用する方法を見ていきます。

浪費癖のあるひとり娘の将来が心配で・・・

Aさん(60歳・女性)は5年前にご主人と死別し、東京都内のマンションで40歳になるひとり娘のBさんと2人で住んでいます。ご主人は運送業で一財を成した起業家で、不動産や株式を含め、かなりの額の遺産を残されました。運送会社の経営は親族外の幹部に無事バトンタッチし、現在、AさんとBさんはその遺産をもとに、経済的には不自由なく暮らしています。

 

Aさんの悩みの種は、娘であるBさんの浪費癖です。ご主人に溺愛され甘やかされて育ったこともあり、若い頃から買い物に対する欲求を抑えきれず、お金を渡すと直ぐに使い果たしてしまいます。

 

常に裕福な生活を送ってきたため、必要に迫られて働いた経験もなく、お金を稼ぐことの大変さを知らずに育ってしまったことが原因だと考えてはいますが、もはや矯正しようがないという現状です。いい結婚相手でも見つけてくれればと願っていましたが、最近では情緒的にも不安定なことが多く、それも望めなくなってきました。

 

今は自分が財産の管理をできているからいいものの、自分にもしものことがあったときの娘の行く末を考えると心配でなりません。

遺言だけで将来の生活保障を実現することは難しい

Aさんは、財産の管理を専門家に委託する「成年後見」という制度について知り、自分の娘にも利用できないか弁護士に相談しましたが、Bさんの場合は単にお金遣いが荒いだけであり、決して知的障害や精神障害には当たらないので難しいだろうと言われてしまいました。

 

また、Aさんには頼りになる弟Cさんがいるので、Cさんに財産を残してBさんの生活費を管理してもらうという遺言書の作成も考えましたが、Cさんに遺産相続させてしまうと、仮にCさんがBさんよりも先に亡くなってしまった場合は、財産はCさんの親族のものとなってしまいます。

民事信託による定期的な生活費の支給で浪費を防止

このような財産の適正な管理というニーズに応えるには、まさに民事信託が適していると言えるでしょう。信託の内容は、以下のようになります。

 

●Aさんを委託者、Cさんを受託者、Bさんを受益者、一定額の現金を信託財産とする信託契約をAさんとCさんが締結する

 

●受益権の内容は、毎月決まった額の金銭を受け取るものとする

 

Bさんは、受益権として毎月決まった額の金銭しか受け取れませんので、浪費する心配はありません。受託者であるCさんにお金をせびることがあっても、Cさんには信託内容を実現するという契約上の義務があります。万が一にもCさんが姪への情にほだされないように、信託監督人として弁護士や司法書士などの専門家を選任しておくことも有効です。

 

また、仮にCさんがBさんより前に死亡した場合でも、信託財産は受託者の財産とは区別して管理されていますので、相続財産と混同するおそれもありません。

 

民事信託の財産管理機能は、無駄遣い防止策として大いに活用できるでしょう。

東雲アドバイザーズ株式会社 コンサルティング事業部マネージャー

東京大学法学部卒。司法書士。2009年より現職。
中小企業オーナー等の資産家向けに、相続・事業承継のアドバイザリー業務を主に担当。信託のほか、不動産や法人化を活用した各種スキームを提案。その他、企業の組織再編スキーム構築、非営利法人の許認可コンサルティング等を多数受託。
東雲アドバイザーズ株式会社は、司法書士を中心に、弁護士、行政書士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、宅地建物取引士等によるリーガルワンストップサービスを展開する東雲グループ(http://snnm.jp/)のコンサルティング会社。

著者紹介

連載ケースで学ぶ「民事信託」活用術

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