今回は、社会保険料を活用して老後の備えと節税を実現する方法について見ていきます。※本連載は、提案型の女性税理士として活躍する、益田あゆみ氏監修の最新刊『オールカラー 個人事業の経理と節税のしかた』(西東社)の中から一部を抜粋し、王道の「節税テクニック」をご紹介します。

生計を一にする配偶者や親族の保険料も控除できる

老後の生活、ケガや病気になったときに備えて、個人事業主が加入するのが国民年金と国民健康保険です。その年に支払ったこれらの社会保険料については、全額が所得控除の対象となります。

 

しかし、本人の保険料だけでなく、家族の保険料まで所得控除の対象になることを知らない人は多いようです。生計を一にする配偶者や親族の国民年金と国民健康保険の保険料を負担した場合、その保険料も合計した金額が所得控除の対象になります。これは、たとえお互いが現在別居であっても生計を一にしていれば、控除が認められます。

国民年金基金、小規模企業共済等の掛け金も控除対象

国民年金は通常65歳から年金を受給できる終身年金制度ですが、サラリーマンの厚生年金保険に比べて年金額が低いと不安を抱える個人事業主も多いのではないでしょうか。そこで、年金給付を上乗せする公的な制度を活用しましょう。それが国民年金基金です。

 

国民年金基金は、国民年金と同じように支払った保険料が所得控除の対象になります。給付の種類は*終身年金タイプと*確定年金タイプがあり、条件によって組み合わせて加入することができます(図表1)。

*終身年金:年金を一生涯受けることができるもの。長生きすれば支払保険料を上回り、たくさん年金を受け取ることができると考えられる。

*確定年金:決まった期間に必ずもらうことができるもの。万一、途中で亡くなっても、亡く
なった人の遺族が受け取ることができる。

 

【図表1 国民年金保険料と国民健康保険料が所得控除になる範囲】

年金の給付を受けることができ、さらに所得控除の対象にもなる制度には、ほかに小規模企業共済、個人型確定拠出年金(図表2)があります。これらの制度は国民年金基金と並行して加入することもできます。

 

また、国民年金基金と同時加入はできませんが、所得控除の対象になる制度に付加年金もあります。給付年金に年額「200円×付加保険料納付月数」が付加されるもので、たとえば40年間(480月)毎月400円の付加保険料を支払った場合、保険給付開始から2年で元がとれる計算になります。

 

所得控除の対象になる年金型の制度を活用して、老後に備えながら節税することも検討してみましょう。

 

【図表2 国民年金基金と所得控除の対象になる制度のポイント】

●国民年金基金のポイント

●国民年金に上乗せする年金制度の組み合わせ例

本連載は、2016年2月10日刊行の書籍『オールカラー 個人事業の経理と節税のしかた』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

オールカラー 個人事業の経理と 節税のしかた

オールカラー 個人事業の経理と 節税のしかた

益田 あゆみ 監修

西東社

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