今回からは具体的な土地の評価方法、そして土地の評価を下げる要因について詳しく解説します。奥行きが長い土地や短い土地の評価はどうなるのでしょうか。

評価が高額になるのは市街化区域の土地

実際に土地を評価をする方法には、路線価方式と倍率方式の2種類があります。一般的には市街地の「宅地を前提に取引される土地」には路線価方式を使い、それ以外は倍率方式を利用します(地方では市街地でも倍率方式があります)。

 

自治体では、環境のよい街づくりをするため「都市計画」を定めています。都市計画では、道路や公園、下水道などを整備して、計画的に市街化を進める「市街化区域」と自然環境を守り農業用地などを確保するための「市街化調整区域」を区別しています。

 

つまり、市街化区域は路線価方式で評価することが多く、市街化調整区域は倍率方式で評価をすることになります。路線価方式なのか、倍率方式なのか、どちらで評価をするのかは、国税庁の「路線価図・評価倍率表」のサイトで確認することができます。そして、評価額が高くなるのは、路線価方式で評価する市街化区域の土地です。

相続税の土地評価は「通達」通りの評価が原則

土地の評価はさまざまな要因によって決まりますが、評価額を下げるポイントは、通達に示された規定をもらさず適用することです。土地の時価は、形や間口の広さ、奥行き、法的規制によって変わります。通達ではそれらの事由を減価要因として、その影響具合を地区区分(影響具合は住宅地と商業地などで異なるので、国税庁で地域に合わせて7つに分類をしたもの)ごとに考慮して、細かく補正率を規定しています。もらさず適用するには、手を抜かずに調査をすること、評価用の図面を作成し、ていねいに補正率を算出することが大切です。

 

それではどのような減価要因があるのか、主なものを見ていきましょう。減価要因が通達にどう書かれているか理解することも大切なので、解説とともに通達の内容も掲載しておきますが、難しいと感じる方は読み飛ばしても差し支えありません。

奥行きが長い土地、短い土地(奥行価格補正)

土地の相続税評価額は、「路線価×面積」で計算するのが基本です。しかし、土地の形はさまざまです。下図のように路線価が15万円の道路に面する土地Aと土地Bがあった場合、相続税評価額はどうなるでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

単純に路線価×面積で計算すると、どちらも15万円×200平方メートルで相続税評価額は3000万円となります。

 

では、土地を買いたい人が土地Aと土地Bを比較検討した場合、どちらを欲しいと思うでしょうか? 多くの人が土地Aを欲しいと思うでしょう。土地Bは奥行きが長く、建物が建てにくいので、土地Aよりも価格は安くなります。

 

土地の相続税評価額は「時価」が原則ですから、「時価」の安い土地は、その分、相続税評価額も低くならなくてはなりません。そこで、奥行きの長い土地、あるいは極端に奥行きの短い土地は、奥行価格補正という補正がかけられます。

 

実際に相続税評価額を計算してみましょう。

 

土地Aの場合は、奥行きが16メートルです。下図を見ると、普通住宅地区で奥行きが16メートルの場合の補正率は1・00ですから、減額はないことを意味します。15万円(路線価)×1・00(補正率)×200平方メートルで相続税評価額は3000万円です。

 

一方で土地Bは奥行きが25メートルなので補正率が0・99となります。よって15万円×0・99×200平方メートルで2970万円となります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[通達]

15  一方のみが路線に接する宅地の価額は、路線価にその宅地の奥行距離に応じて奥行価格補正率を乗じて求めた価額にその宅地の地積を乗じて計算した価額によって評価する。

相続税から土地を守る生前対策

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下坂 泰弘

幻冬舎メディアコンサルティング

税制改正により、土地を失うリスクは飛躍的に増大しました。地主の方にとって相続税対策は深刻な問題です。そのため、さまざまな相続税対策をしている方も多いですが、その対策には大きなリスクを伴うものもあります。 相続税…

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