前回は、全くの異業種とのM&Aで得られるメリットについて説明しました。今回は、ゼロから新規工場を建てるよりもM&Aで工場を手に入れるほうが有利な理由を見ていきます。

ゼロからの工場建設では稼動まで数年かかる場合も・・・

生産ラインを増やしたい企業にとっては、ゼロから新規工場を建てるよりもM&Aで工場を手に入れることの方がはるかにお得です。製造業の場合は、店舗や事務所があれば何とかなる業界とは違って、工場や設備、熟練工などといったものが必要になり、多くの投資が不可欠です。

 

こうした場合には戦略として、M&Aによる投資と新規工場建設による投資を比較検討してみましょう。時間とコストの面において歴然とした差が出てくるのではないでしょうか。

 

仮に、ある企業が埼玉に工場を自ら建設したいと考えた場合、まず土地の選定から始めなければなりません。土地が決まったら、土地を購入もしくは借用して、建物の建築工事等を行います。その工事や製造ラインの設置工事等、1年以上になることもあります。

 

工場を建てている間にも、足りない人材の募集、従業員の雇用を進めていく手間が発生します。さらにその工場が実際に稼働し始めてからも、不良率の低い安定した生産が軌道に乗るまでには半年以上かかることも想定されます。

 

つまり、まともに稼働できるようになるまでは、数年以上かかることもあるのです。その間は利益はおろか、コストはすべて借入金や内部留保から賄うしかありません。

M&Aの活用が経済的負担の減少と時間短縮に繋がる

また、工場の建築費も、今は建築業界も人手不足や建築資材の高騰があって、高額になりやすくなっています。単純な倉庫とは違って、工場であれば、それらの作業工程に耐えうるような構造にする必要があるため、さらに費用は上乗せされます。

 

こういったことを踏まえると、M&Aで購入した方が、新工場建設よりもおそらく感覚的には半値以下になることもあるのではないでしょうか。買い手にとってはM&Aで購入する方が明らかに経済的に負担は少なく、時間短縮にもなるのです。

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    本連載は、2016年4月27日刊行の書籍『中小製造業の社長が知っておきたい会社の売り方』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

    中小製造業の社長が知っておきたい会社の売り方

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    浅岡 和彦

    幻冬舎メディアコンサルティング

    自分が高齢になってもその技術や従業員を守っていきたい、自社の技術を信頼してくれる取引先に迷惑をかけたくない──これは中小製造業の社長に共通する願いでしょう。 しかし、社長の思いに反し、多くの会社がいま存続の危機…

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