有効活用地の候補となるエリアとは?

前回は有効活用地とみなすための判断基準について、基本的なポイントを解説しましたが、今回は「エリア」に関する考え方を見ていきましょう。

エリアの発展はインフラが鍵を握る

土地を有効活用していく上では、将来的な「人の流れの変化」を予測することが大変に重要となります。

 

そのための一つの方法としては、信頼できる不動産会社などに、「○○地域で物件を有効活用することを考えているのですが、今後、発展する可能性はあるでしょうか」と、エリアの将来性についてアドバイスを求めることが考えられます。プロの目から見て〝下り坂〞との評価を受けるような地域であれば、やはり避けることが望ましいでしょう。

 

また、個人的な見解になりますが、やはり街の成長は、一にも二にもインフラがどれだけ整備されているかにかかっています。中でも、とりわけ鍵となるのは「道路」でしょう。

 

具体的な名前を挙げると、東急東横線沿線の菊名、白楽、妙蓮寺等の地域は、昭和20年、30年前半の頃は、多くの人が好んでその住宅街に家を構えるなど、大きく発展していました。

 

しかし現在、これらの街は将来性が乏しいと見られています。その理由は、道路が狭く、住居が立て込んでおり、自動車が移動しづらいからです(道路は建築基準法上の最低ラインである4m幅、あるいはそれ以下であるという場所がほとんどです。これでは、自動車がすれ違うことが困難です)。

 

車社会である現代日本では、自動車がスムーズに動けることが、人、物資の自由な移動を確保する上で重要です。そのため、近年新たに開発されている街の多くは、道路幅を最低でも6m以上確保しています。たとえば筆者の地元近辺でいえば、横浜市の港北ニュータウンも、最近できたばかりの長津田みなみ台も広々とした道路を備えています。

 

このように、街の発展のためには、人間でいえば身体の隅々に血を送る〝大動脈〞の役割を果たす広い道路(幹線道路)を整備することが不可欠であるという考えが、もはや当たり前のものとなっているのです。

タウンウォッチをして街の選択眼を養う

「道路等のインフラが十分に整備されている」
「高台にある」
「建ぺい率、容積率等の規制により住環境が守られている」
「家と家との間が離れている」
「商業施設が充実している」
「近くに大きな病院がある」
「鉄道・バスの便もいい」

 

思いつくままにあげてみましたが、このような条件を備えているエリアであれば、有効活用の候補地としては理想的でしょう。

 

また、少々道が狭く家が立て込んでいるような場所でも、そこにある街が独自の文化を形成しており、多くの人を引きつけるような魅力を放っていれば、将来性は期待できるかもしれません。たとえば、サブカルの街として知られる東京・中野駅周辺や、オシャレな店が立ち並ぶ三軒茶屋などをそのような街の具体例としてあげることができます。こうした基準で絞っていけば、土地の有効活用に適した候補地は、おのずと定まっていくはずです。

 

エリアを選ぶ際には、できれば積極的にいろいろな街を見て回る「タウンウォッチ」をすることもお勧めです。

 

実際に街を歩くことによって、「ああ、この街は老人が多く、若者が少ない。将来、さびれていく可能性があるな」「なかなか刺激的で好奇心がそそられる店が目立つ。道路もしっかり整備されているし、ここはこれから発展するかもしれない」などと自らの肌で実感することで、街の〝選択眼〞が自然と養われていくはずです。

土地の有効活用のためには郷土愛を抑えることも大事

土地持ちの人の中には、「自分の生まれ育ったこの街は本当に素晴らしい。だから、ここで有効活用すればきっと成功するはず」というように、〝郷土愛〞をエリアの魅力を判断する際のもの差しの一つにしてしまう人がいます。

 

しかし、どんなに育った街を愛しており、深い思い入れを持っていたとしても、それはあくまでも個人的なものにすぎません。郷土愛を持つことは、非常に素晴らしいことですし、また必要なことでもあると思いますが、万人が共有できるものではありません。

 

やはり誰もが、「この街は最高だ、ぜひとも住みたい」と思えるようなところでなければ人は集まりません。土地の有効活用を考える時には、極力個人的な思いを排して、徹頭徹尾、客観的な視点から、「この土地は稼ぐことができるだろうか」と冷静に分析するスタンスを保つことが大切となるのです。

 

また、有効活用のために土地を持つ場合には、金融商品と同様、分散投資の視点も必要になるかもしれません。分散投資とは、投資資金を複数の投資対象に分けて投資することでリスクを軽減することです。すなわち、土地が1カ所に集中して存在するということは、金融商品でいえば株式、投資信託、債券などの金融商品がある中で、ある特定の商品に集中投資するようなものだと思います。

 

特定の商品の価格が下落してしまえば、投資資金がほとんどなくなるおそれがあります。土地の有効活用でも、1カ所に土地が集中していれば、その土地が駄目になった時に大きな経済的打撃を受ける危険性があります。

 

したがって、1カ所に集中して土地を保有しているよりは、複数の地域に複数の土地を持つなどバリエーションを加えておくことがリスク分散になるはずです。このような視点もぜひ、意識してみてください。

小池税理士事務所 所長・税理士

1978年早稲田大学法学部卒業。大学卒業後、興亜火災海上保険(当時)入社。1980年に退職し、石川税理士事務所に入所。1981年日商検定2級に合格。1987年税理士試験合格(簿記、財表、法人税法、所得税法、相続税法)。1989年石川税理士事務所 副所長就任。1994年同所を退職。1995年東京都町田市に小池税理士事務所開業。同年横浜市緑区に事務所を移転。現在に至る。開業以来、農家を中心とした地主の相続税申告を多数手掛ける。事前対策の必要性を痛感し、「家を守る」という観点から、相続の事前対策により重点を置いて活動している。

著者紹介

連載地主の相続財産を守る、土地の「片付け方」

相続財産を守りたければ 不要な土地は片付けなさい

相続財産を守りたければ 不要な土地は片付けなさい

小池 誠一郎

幻冬舎メディアコンサルティング

大増税時代を目前に控え、地主の頭を悩ませる相続の問題。特に深刻なのが、かつて都市近郊で農業を営んでいて広大な土地を有している地主の方です。先祖代々農業を営んできた地主の方は、土地を手放すことへの後ろめたさがあり…

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