今回は「有効活用地」「問題地」「納税用地」のうち、有効活用地がテーマです。どのような土地を有効活用地とみなすのか、その判断基準等を見ていきましょう。

有効活用地は5%以上の利回りを判断基準とする

有効活用地は、お金を生み出せる土地、つまりは一番生産性の高い土地のことです。要するに、「死守地」を維持していくために稼いでもらう土地、フルに働いてもらうことになる土地です。

 

具体的にいえば、人口の多い街の駅から徒歩10分以内にあって、アパート、マンションを建てれば高収益が期待できるような土地です。このような有効活用地は、現在すでに保有している場合もあるでしょうし、資産の組み替えによって新たに獲得することもできるでしょう。

 

問題は、どのような土地を有効活用地とみなして持ち続けるのか、あるいは資産の組み替えの候補地とするのか、その判断基準です。

 

基本的には、やはり利回りから考えるのが妥当でしょう。

 

初歩的な話になりますが、利回りについては投下する資本の額との関係で考える必要があります。たとえば、5億円の費用をかけてマンションを建てて500万円の利益を得るのであれば、利回りは1%です。一方、1億円をかけてアパートを建てて500万円の利益を得るのであれば利回りは5%になります。

 

アパート、マンション経営を行っていく上では維持費や老朽化対策費も必要となりますし、建設費等を金融機関からの借り入れで賄うのであれば、金利の上昇リスクについても考慮しておかなければなりません。

 

そのような点に鑑みれば、現状であれば、最低5%の利回りがなければ、「稼いでもらう土地」というには難しいかもしれません。あるいは、マンション、アパートでは5%の利回りを得ることが難しくても、駐車場にすれば可能というケースもあるでしょう。

 

そうした様々な選択肢や可能性なども検討しながら、利回り5%を一応の目安として、今後有効利用できる土地であれば残し、そうでなければ処分することを決めていけばよいでしょう。資産の組み替えとして、新たに有効活用できる土地を求める際にも、同様に検討すれば大きな失敗をすることはないはずです。

 

 

 

建物を建てる際には固有のリスクについても配慮する

アパート、マンションなどの収益物件を建てて土地を有効活用する際には、そのリスクについても十分に配慮しておく必要があります。

 

老朽化や金利の変動リスクについてはすでに触れましたが、自然災害の多い日本では天災のリスクについても要注意です。地震はもちろんのこと、最近では温暖化に伴い、ゲリラ豪雨による浸水、竜巻なども警戒しなければなりません。

 

このような天災に真正面から襲われれば、建物は甚大な被害を受け、その補修等のために多額の出費を余儀なくされます。そのようなリスクをとりたくないのであれば、天災があったとしても比較的軽微な被害で済むことの多い駐車場等の形で土地活用することがベターな選択となるかもしれません。

 

また、別のもう一つ大きなリスクとしては、「人の流れの変化」についても特別な注意が求められます。人口が多く今は栄えているような地域でも、人の流れが変われば次第に衰退していくおそれがあります。

 

たとえば、駅周辺が再開発されて若者向けの商業施設が次々と建てられ、住宅地がしゃれた街並みに整備されたようなエリアには、多くの人が集まるので、自然とにぎやかになっていき、そのような雰囲気にひかれて住む人も増えていくでしょう。しかし、その周辺のエリアは、相対的に魅力が乏しいように思われることになり、それまではあった人の流れが徐々に減り、結果的に住む人の数も少なくなっていくようなことが起こりうるかもしれません。

 

仮に、そのようなエリアで土地の有効活用を行っていたとすれば、今の時点でたとえ5%以上の利回りを確保することができていたとしても、いずれはそれが困難になる危険があるのです。

相続財産を守りたければ 不要な土地は片付けなさい

相続財産を守りたければ 不要な土地は片付けなさい

小池 誠一郎

幻冬舎メディアコンサルティング

大増税時代を目前に控え、地主の頭を悩ませる相続の問題。特に深刻なのが、かつて都市近郊で農業を営んでいて広大な土地を有している地主の方です。 先祖代々農業を営んできた地主の方は、土地を手放すことへの後ろめたさがあ…

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