外貨に対する厳しい規制を課しているスリランカ。しかし「パナマ文書」にスリランカ人の名前が見つかり、その規制の抜け穴の存在が明らかになりました。「パナマ文書」がスリランカに与えた影響について、スリランカで最も伝統がある法律事務所に尋ねたインタビュー記事を全5回でお伝えします。

国外資産を保有した場合、申告義務があるスリランカ

――そもそもスリランカの法律では外国為替はどのように規制されているのでしょうか?

 

外貨規制については、外国為替管理法(1953年法律第24号)において規定されてきました。この法律によれば、スリランカ人およびスリランカに居住する外国人はスリランカ・ルピーを外貨に交換することが禁じられています。大まかに言えば、規制されるのは外貨の保有、外貨の借入、あるいはスリランカ国外にいる者への外貨での支払いです。

 

また、国外資産を保有した場合には申告の義務があります。その資産を処分したい場合にも、為替管理局が出す指示に従わなければなりません。更に為替管理局および財務省の許可なく、スリランカ国外にある会社の証券を保有することは出来ません。そして、この許可を得るのには通常、3ヶ月から1年がかかります。

 

国外にある会社の証券を受け取る場合も、それは国外資産と見なされて申告する必要があります。また、その証券を売却する際も、為替管理局にその旨報告し、その売却益をスリランカに戻されなければなりません。

規制緩和の流れを変えた「パナマ文書」

上記のとおり、外貨に対して厳しく制限を課しているスリランカの法律ですが、政府はこれまで幾度となく規制緩和をしてきました。規制緩和の流れは1980年代に始まり、もっとも自由化が進んだのは2015年12月29日から「パナマ文書」が暴露された2016年4月まででした。

 

最初に行われた規制緩和で、スリランカに住む人々は商品・サービスの対価を国外に送金できるようになりました。この緩和のおかげで、今日、私たちはクレジットカードやデビットカードを使ってイーベイ(eBay)で買い物ができるのです。

 

それから、スリランカで特定の職業、例えば観光業などに就いて外貨を稼いでいる人たちは、ある一定期間のみですが、外貨の保有が許されるようになりました。更に、個人あるいは民間企業は、株式の購入を目的にした海外送金を10万ドルを上限に認められるようになりました。上場企業の場合では、この上限は50万ドルまで引き上げられます。しかし、これ以外の理由から外貨を国外に送金する場合には、依然として為替管理局の許可が必要となります。

 

(次回は、スリランカの外貨規制がもっとも緩和された時期についてお伝えします。)

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    この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2016年5月に掲載した記事「OFFSHORE ASSETS FOR DUMMIES: THE SRI LANKAN PERSPECTIVE」を、翻訳・編集したものです。

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