医師が不動産運用を行うメリットを理解出来ていたとしても、資金を動かす際には精神的にも大きな決断が必要になります。その背景にある葛藤やそれぞれの医師としての立場、将来への不安にはどのようなものがあったのか。本連載では、不動産運用により資産を形成した成功事例、さらに一歩進めて、不動産を活用して得た資産による開業や新たな医療・福祉サービスなどの事例を紹介します。今回は将来を見据えたライフプランとタックスメリットについて具体的に見ていきます。

まずは過去3年間分の確定申告することから

 

 診療科 整形外科
 年齢 32歳
 家族構成 独身
 居住地 中部地方
 勤務医としての年収 1,400万円

 

〈前回のあらすじ〉

救急指定病院で整形外科医として勤務するA氏は、昼夜を問わず働きづめでしたが、先輩のアドバイスもあり節税目的で不動産投資を始めることに。しかし、管理委託契約を結んでいた不動産会社の不親切な対応もあり、確定申告をすることなく3年の月日が経ちました。

 

私がA氏に出会ったときは、このように不動産運用のメリットを活かしきれていない状況でした。

 

毎月のマイナス分が3年分積もって、合計数十万円の赤字に。たまたま満室状態を継続していましたが、一括借り上げ契約をしていなかったので、いつ空室になるか毎日ヒヤヒヤしている、とのことでした。確定申告の案内をしてくれないような不動産会社では、空室時の入居者募集も期待できない、と言うのです。A氏は、こんなことなら不動産運用を始めなければよかった、後悔していると話していました。

 

当然販売した不動産会社がフォローするものですが、このときの不動産会社は担当者が代わったということもあり放置状態でした。「買う前ばかり連絡してきて、後はほったらかしか」と、A氏は不動産業界というものにも不信感を持ち始めていました。

 

しかし、せっかく満室が継続できている物件を所有しているのに、このままではあまりにもったいない。

 

私は、まず確定申告は5年間さかのぼって行うことが可能なことを伝えました。A氏の場合、1年で100万円近い節税ができていたはずなので、過去3年分まとめて申告すれば約300万円が還付されます。

 

このアドバイスによって、A氏はそれまでの後ろ向きな状態から、やっと気を取り直してくれました。今まで複数の不動産会社から営業を受けたようですが、この方法は聞いたことがなかったそうです。

 

実際にどのような手続きになるのか資料を送り、電話で説明し、もちろん何度も直接お会いしました。

 

するとだんだんプライベートな話をしていただける機会が増え、「いずれは結婚したい」「病気になって収入がなくなるのが怖い」といった不動産運用の目的を語ってくれ、打ち解けていくことができたのです。

 

将来のライフプランとタックスメリットを考慮した決断

私はこのような将来の希望や不安をお聞きしていると、やはりより節税しながら資産を増やしていくべきだと考えました。

 

私はA氏に次のような追加投資のメリットを説明しました。


● 現在の収入ならさらに融資を受けて運用物件を購入できる
● その結果、より多くの節税効果が得られ、数百万円の還付が受けられる

 

説明したのはメリットだけではありません。「節税効果が得られるのは経費計上できるローン金利や減価償却費が高い7年から10年の間だけ。それ以降の収支はマイナスになるはず」といったマイナス要素も話しました。

 

しかし、投資用物件はなかなか値下がりしないので、10年後でも購入価格の2割減程度で売却できることが少なくありません。ローンの残債を残すことなく売ることができ、再度節税効果のある新築物件を買うという手もあるのです。

 

また、そのまま所有していても、多くの場合けっして損ではありません。ローンを組む際は、必ず団体信用生命保険に加入します。死亡または所定の高度障害状態になったとき、保険金でローンを返済するためのものです。万が一の事態でも、ローンが完済していれば物件は家族の物。家賃収入を残すことができます。月々1万円程度のマイナスなら、別の生命保険に加入するよりもお得なのです。

 

それに健在なままローンを完済してしまえば、その後の家賃収入は丸々の収益です。とはいえその当時の家賃収入は2戸分で18万円程度。それでは生活を維持できないでしょう。あと3戸を追加し合計50万円前後の家賃収入は欲しいところです。

 

A氏はこの説明で即決してくれました。それまでの2戸を維持したまま、新たに都内の3戸を購入。5戸すべてを弊社の管理とし、一括借り上げをすることになりました。

 

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