前回に引き続き、「骨董品収集」が趣味の社長に、突然相続問題が発生したらどうするかを見ていきましょう。今回は、こっそり集めている「高級腕時計」の相続対策について見ていきます。

高級腕時計は会社の税務に組み込むことができない・・・

前回の続きです。骨董品と同じく社長が趣味としてよく蒐集しているものに高級腕時計があります。一つ数百万円から高いものでは1000万円を超えるものまであり、ステータスを示すアイテムとしても人気が高いものです。

 

妻からは「無駄遣い」ととられることも多いので、隠してこっそり蒐集している社長も見受けられます。

 

価格が高いものだけに、しばしば「事業の税務に組み込めないか?」という相談を受けることがあります。結論から言うと、高級腕時計には事業性がないので会社の税務に組み込むのは不可能です。

 

置き時計の場合、不相応に高額でなければ会社の備品となる可能性があります。そうすると、減価償却が可能です。

 

ところが腕時計は税務上こういった取り扱いを受けることができません。従って時計の蒐集に事業性を持たせたいのであれば、実際に「事業」を行う必要があります。たとえば時計をネットオークションなどで売買するネットショップを立ち上げて、その会社で高級腕時計を扱うのです。

高級腕時計の蒐集には「古物商許可の取得」が有効

この時カギになるのは「古物商許可の取得」です。社長自身が使用した時計を売却するケースもあるので、この免許を取得して事業を立ち上げましょう。古物商許可は警察に届け出るだけで比較的簡単に取得できます。

 

許可が下りたら古物商登録を行い、多少面倒ではありますが、時計の購入や売却について古物台帳を付けるようにします。

 

会社の資産とすることで、相続の時にも時計そのものが相続財産として表に出てきませんから、妻に隠しておくための対策としても有効です。

 

ただ、その腕時計はあくまで商品です。蒐集して見ている分には自由ですが、実際に自分で使用する場合は賞与扱いされる可能性がありますのでご注意ください。

 

また、社長であればご存知と思いますが、事業を立ち上げるのはとても難しいことです。本来の事業に影響を及ぼさない程度にすることが肝要かと思います。

本連載は、2015年10月27日刊行の書籍『妻に隠しごとがあるオーナー社長の相続対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

妻に隠しごとがあるオーナー社長の相続対策

妻に隠しごとがあるオーナー社長の相続対策

佐野 明彦

幻冬舎メディアコンサルティング

どんな男性も妻や家族に隠し続けていることの一つや二つはあるものです。妻からの理解が得にくいと思って秘密にしている趣味、誰にも存在を教えていない預金口座や現金、借金、あるいは愛人や隠し子、さらには彼らが住んでいる…

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