院長が知っておくべき事業承継のための「売り時」とは?

日本の獣医師は高齢になれば8割が廃業する一方で、若手は大多数が困難な新規開業にチャレンジしています。第三者事業承継は、新規開業よりもリスクが低く、引退する獣医師・若い獣医師にとっても、顧客にとってもプラスとなります。本連載は、動物病院事業承継コンサルタントの西川芳彦氏の著書『なぜ8割の動物病院が廃業になるのか』(河出書房)の中から一部を抜粋し、動物病院の第三者事業承継のメリットをご紹介します。

動物病院の売り時にも「旬」がある

前回に引き続き、事業承継の10のポイントについて見ていきましょう。今回は、院長先生に伝えたい、3つのポイントとは何かを見ていきます。

 

①宝物がゴミに変わる瞬間がある

 

モノにはすべて売り時というものがあります。その売り時とは、そのモノが一番高く売れる時を言います。会社のM&Aでも、野菜や果物、家電製品まで、この売り時はあります。これを「旬」と言ったりもします。

 

この旬を過ぎたものが二束三文で売られているのを目にしたことがあると思いますが、この動物病院もまた旬があり、その時期を過ぎると、これまでは宝物だったものがゴミに変わります。

 

つまりは、この事業承継で若い先生に高値で買い取ってもらえる時が旬で、この時を過ぎてしまうと、あとは「廃業」しか道がなくなってしまうということです。

「早めのリタイア決断」が何よりも重要

では、その旬はどう見定めればいいのでしょうか。

 

「売り上げ2000万円」という目安があります。この2000万円を下回ってくると若い先生が引き継ぐのに不安になるため、これが承継できるかどうかの最低ラインになります。

 

事業承継というシステムは、「引き継いだ人がその病院を経営していくことで十分に生活していくことができる」ことが絶対条件ですから、売り上げが2000万円を下回ると承継できる可能性がかなり低くなります。

 

承継では、「いつ売るか」というタイミングが大事であり、そのタイミングを逸してしまうと、廃棄するしかなくなって、病院も、医療機械もゴミになってしまいます。自分の病院が旬であり続けるのはいつまでなのか、その見極めが大事です。

 

ただ1つ言えるのは、「早めにリタイアを決断すれば、その分、承継できる可能性は高くなる」ということです。それ以降は、完全リタイアするのもよし、病院に残って自分がやれることを続けるのもよし、人生の選択肢をこの承継によってつくることができるのです。

 

次回は、2つ目、3つ目のポイントについて紹介します。

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連載医師も顧客も幸せになる「動物病院の第三者事業承継」

株式会社メディカルプラザ 代表取締役

1958年滋賀県生まれ。動物病院事業承継コンサルタント。
東京海洋大学卒業。1995年から動物病院の開業コンサルティングを開始、全国に300 件以上の開業支援実績がある。2008年から動物病院の事業承継コンサルティングを開始、全国に80件以上の実績をつくる。動物病院開業セミナーを20年間で計252回開催、日本臨床獣医学フォーラム年次大会にて講演多数。
主な著書に、『なぜ8割の動物病院が廃業になるのか~事業承継の成功事例16~』(河出書房)、『動物病院で獣医師として生きる―新時代の勤務医・開業医スタイル』『ザ・ビジョン―プロフェッショナル獣医師による新型動物病院組織』(以上、アイシーメディックス)、『入門 院長のハッピーリタイア&獣医師のハッピースタート―動物病院の「第三者事業承継」時代がやってきた』(インターズー)ほか多数。無料情報誌「動物病院の事業承継を考える」を全国約1万件に毎年配布している。

著者紹介

なぜ8割の動物病院が 廃業になるのか

なぜ8割の動物病院が 廃業になるのか

西川 芳彦

河出書房

ペットを飼っている人ならしばしばお世話になる動物病院。しかし、この動物病院の8割が、院長の引退と共に廃業していることをご存知だろうか。 今の日本の獣医業界は、大多数の獣医師が引退して廃業し、大多数の獣医師が新規開…

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