今回は、キャッシュを生み出すための「請求書」の書き方について見ていきましょう。本連載は、“ナニワの人情税理士”として知られる鈴木和宏氏の著書、『中小企業のオヤジだけが知っている儲けのカラクリ』(マネジメント社)の中から一部を抜粋し、「儲かる社長」が実践している資金繰りのノウハウをご紹介します。

まず自社発行の請求書を再確認してみる

大量の請求書を処理する経理担当者は、どんなタイプの封筒を使うのがいいと思いますか?当たり前ですが、開けやすいもので、封筒のサイズぴったりに請求書を入れていないものが好まれます。誤って請求書自体にハサミを入れてしまうこともあるので、定形封筒を使用し、折り方も書き出しを上にし、下から3分の1を上に、上から3分の1を下に3つ折にするのがいいそうです。

 

請求書については、無料テンプレートや雛形・書き方など、インターネットのいろいろなサイトから手に入れることができます。

 

請求内容に記入漏れがないものが当然ですが、忘れがちなものは、印鑑の押印、振込先の明記、発行日などだそうです。請求書を書くときには下記の項目は必要最低限、忘れずに確認しましょう。

 

●書類作成者の氏名または名称

●取引年月日

●取引内容

●取引金額(税込み)

●書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

 

なお、市販の販売ソフトで請求書を出す場合は、一定の様式で自動的に記入されるので簡単です。

 

それでは、あなたの会社が発行する請求書を確認してみましょう。ここから様々なことが見えてきます。

 

●1枚当たりの請求額の最高金額はいくらですか?

1枚当たりの請求額の最低金額はいくらですか?

1枚当たりの請求粗利益額の最低金額はいくらですか?(計算が必要ですが)

1枚当たりの請求額の平均金額はいくらですか?(概算を計算してください)

1枚当たり請求額の分布表を作ってみましょう。どこに山がありますか?

毎月定額の請求はありませんか?

振込手数料は先方負担ですか?

期日どおり支払われていますか?(入金との突合せが必要ですが)

締め日はどうなっていますか、支払いサイトは?

請求額どおりに支払われていますか、端数を切られたりしていませんか?

請求書発行枚数の月の変動はどれくらいですか?

自社が受け取る請求書から「何か」が見つかることも

つぎに、あなたの会社が受け取る請求書も確認してみましょう。ここからも様々なことが見えてきます。

 

1枚当たりの支払額の最高金額はいくらですか?

1枚当たりの支払額の最低金額はいくらですか?

1枚当たりの支払額の平均金額はいくらですか?(概算を計算してください)

1枚当たり支払額の分布表を作ってみましょう。どこに山がありますか?

毎月定額の支払いはありませんか?

振込手数料は当方負担ですか?

支払いサイトはどうなっていますか?

請求額どおりに支払っていますか、端数を切ったりしていませんか?

請求書受け取り枚数の月の変動はどれくらいですか?

 

ここでは何が良くて何が悪いと断言はできません。また、社長さんならだいたい想像がつくはずです。時間のあるときに丸一日ぐらい時間をかけて確認することをおすすめします。

 

大阪のコンサルタント会社の社長が、ある部門の伝票の束を見て愕然としたことがあります。1伝票当たりの請求粗利益額があまりにも小さいことに気付いて、その後、その部門から撤退しました。経営感覚を持って伝票チェックを行うと、思わぬ何かが見つかるかもしれません。

 

請求書は、事務的に送っている会社がけっこう多いと思います。請求書に添えられている手紙もパソコンでタイプしたものが通常と思われています。

 

私は、ネットで送る・封筒で送るにかかわらず、直筆文章でひとことお客様が喜んで支払いたくなるような請求書を工夫する提案をしています。心をこめて、取引のエピソードや感謝の言葉を、直筆で文章が添えられていたらどうでしょうか?

 

心ある社長さんでしたら、「すごくええやん」と感動して支払期日前でも請求書が届いたらすぐに支払いをしてくれるかもしれません。

 

ぜひ、キャッシュを生み出す請求書の書き方を研究してみてください。

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    本連載は、2015年12月12日刊行の書籍『中小企業のオヤジだけが知っている儲けのカラクリ』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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