相続税を有価証券・土地などで納税する「物納」の概要

前回は、相続税を「延納」する際の条件や注意点を説明しました。今回は、「物納」の概要を見ていきましょう。

金銭による納付が困難な場合、最後の手段となる物納

延納を選択したくても金銭による納付が困難な場合は、有価証券・土地などで納税する方法が認められています。これを「物納」といいます。

 

物納が許されるのは、相続または遺贈によって取得した財産に限られています。物納する場合、収納価格は相続税評価額となります。物納を利用するための要件は以下のとおりです。

 

①延納を選択しても金銭で納付することを困難とする事由があること。

②物納できる財産があること。

③申告期限までに税務署長に申告すること。

④物納しようとする財産が、物納不適格財産に該当しないこと。

 

共有財産や係争中の財産、抵当権がついている財産は物納できません。なお、延納の申請が認められた相続税について、延納期間内の納付が困難な場合には、申告期限から10年以内に限り、延納から物納への変更をすることが可能です。これを「特定物納」といいます。

物納できる財産には「順位」がある

物納できる財産には順位があり、上位の財産がない場合に、下位の財産を物納することができます。

 

●第1順位 国債・地方債・不動産・船舶

●第2順位 株式等の有価証券

●第3順位 動産

 

また、特定登録美術品は、上記順位にかかわらず物納に充てることができます。

「利子税」や「延滞税」などは物納できない

相続税に附帯する加算税、利子税、延滞税や連帯納付責任額については、物納の対象にはなりません。

 

また、平成18年度の税制改正に伴う相続税法の一部改正により、平成18年4月1日以後に相続開始により財産を取得した人と平成18年3月31日以前に相続開始により財産を取得した人では、物納の手続きや利子税の負担等で異なる部分があるので確認しておきましょう。

 

 

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物納不適格財産(ぶつのうふてきかくざいさん)

 

売却ができなかったり、維持費がかかったり、管理が困難な財産のこと。境界が明らかでない土地や、耐用年数が経過している建物、公の秩序、善良の風俗を害するおそれがある目的に使用されている不動産などが該当する。

 

特定登録美術品(とくていとうろくびじゅつひん)

 

①我が国の重要文化財や国宝に指定されている作品、②世界文化の見地から歴史上、芸術上または学術上特に優れた価値を有する作品、の条件を満たし、登録された美術品。

本連載は、2014年12月17日刊行の書籍『図解でわかる相続発生後でも間に合う完全節税マニュアル改訂版』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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連載相続発生後でも間に合う節税策~納税のとき編

公認不動産コンサルティングマスター 相続対策専門士 

相続コーディネーターの創始者として1万3000件以上の相続相談に対処。 感情面、経済面に配慮した“オーダーメード相続"を提案し、 家族の絆が深まる「夢相続」の実現をサポートしている。 株式会社PHP研究所勤務後、昭和62年不動産会社設立、相続コーディネート業務を開始。 平成12年NPO法人設立、内閣府認証を取得。 平成13年に相続コーディネートを業務とする法人を設立、 平成15年に東京都中央区八重洲に移転し、平成20年に社名を株式会社夢相続に変更。

著者紹介

図解でわかる 相続発生後でも間に合う 完全節税マニュアル改訂版

図解でわかる 相続発生後でも間に合う 完全節税マニュアル改訂版

曽根 恵子

幻冬舎メディアコンサルティング

相続が発生してからでも、数千万円~数億円単位で節税を実現する相続税対策を中心に、前作同様毎項目ごとに入った図解で視覚的に相続税の節税方法が理解できることはもちろん、相談件数1万件以上の著者だから書ける豊富な実例…

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