今回は、サンフランシスコ・ベイエリアの世帯所得水準と家賃支払負担比率をもとに、サンフランシスコ・ベイエリアの家賃は今後も上昇するか否かを検証します。

イノベーション産業が家賃上昇を促す証拠とは?

前回までは、グーグル、アップルを例に、シリコンバレー所在の巨大イノベーション企業による、不動産投資関連情報について説明しました。今回は、サンフランシスコ・ベイエリアの世帯所得水準と家賃支払負担比率により、今後の家賃成長(不動産価値上昇)の余地について見ていきましょう。

 

まずは下のチャートをご覧ください。全米、全カリフォルニア州、サンノゼ大都市圏(グーグル、アップルの本社がある、いわゆるシリコンバレー)、サンフランシスコ大都市圏(対岸のオークランド大都市圏も含む)、およびニューヨーク大都市圏の中間世帯所得の過去10年にわたる推移です(ちなみに、サンノゼおよびサンフランシスコは1970年代から全米トップ5に常にランキングされる大都市圏です)。

 

[図表1]過去10年中間世帯所得推移(インフレ調整後、米国勢調査)

 

インフレ調整後でみると、2005年から全米、全カリフォルニア州、ニューヨーク大都市圏の中間世帯所得は減少あるいは横ばいを示していますが、サンフランシスコ・ベイエリア(サンノゼおよびサンフランシスコ大都市圏)では、世帯所得の増加が見られます。特に過去3年についていえば、9〜10%の増加となっています。

 

 

一方、これらの大都市圏と全米、全カリフォルニア州との所得格差は拡大する傾向にあることが分かります。この10年で全米対サンノゼの所得格差は1.65倍→1.80倍、対サンフランシスコで1.41倍→1.55倍と拡大傾向にあります。

 

サンフランシスコ・ベイエリアでの家賃(不動産価値)は、過去3年間二ケタの成長を支えてきた事実を裏付けるものとなるでしょう。イノベーション産業が原動力になって、地域経済を成長させ、不動産価値を上昇させる証拠と言えます。

 

また、ピケティではありませんが、資本利潤率は常に経済成長を上回るという点も、サンフランシスコ・ベイエリアでは証明するに易いと言えるでしょう。

家賃上昇の余地が残されているオークランド大都市圏

さて、それでは世帯所得に占める家賃支払が各大都市圏でどのような比率になっているかを、下のチャートでご覧ください。2015年、28大都市圏における世帯所得に占める家賃支払比率を示しています。

 

[図表2]世帯所得に占める家賃支払比率

 

世帯所得の伸び以上に家賃が成長している大都市圏では、かなり家計が厳しくなっている状況と言えます。サンノゼ大都市圏の数値はここにはありませんが、サンフランシスコ大都市圏のもの同様か、それよりも若干良いものと考えられます。

 

歴史的に見て、1997年以降で言うと、2001年のニューヨーク大都市圏が過去最大の家賃比率(66%、但し家賃規制下のアパートは除外)を記録しています。

 

[図表3]2001年各都市の家賃比率

 

[図表4]2007年各都市の家賃比率

 

サンフランシスコ・ベイエリアで言うと、2001〜2007年ではサンフランシスコ大都市圏が家賃比率40%を切るレベルだったのが、この数年の二桁の家賃成長で家賃比率が40%に達することになったのがやや気になるところです。

 

 

世帯所得に対し行き過ぎた家賃成長は、どこかで調整される可能性がある一方(これは家賃下落という明らかな現象ではなく、所得増加を待つ等の価格上昇のスローダウンも含まれる)、サンフランシスコ対岸のオークランド大都市圏は、家賃比率30%台に乗せたとはいえ、まだ家賃上昇余地が残されたエリアと言えるでしょう。

 

次回は全米アパート市場における資本市場の特徴、特に米国国債と賃貸アパート不動産(特にサンフランシスコ・ベイエリア)に関わる還元利回りとの関係について説明します。

 

参考資料

http://www.axiometrics.com

Axiometrics Inc.

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