安定したリターンを得ながらリスク分散ができる「私募リート」。前回は、私募リートにおける投資法人の資金調達手段について説明しました。今回は、借入金の活用による「レバレッジ効果」について見ていきます。

自己資金は少額でも借入金の活用で収益の拡大が可能

エクイティのほかにデットを資金源とすればレバレッジ効果が働くので、リートの収益をより拡大することが可能となります。「レバレッジ(Leverage)」とは、英語で「テコの作用」を意味します。テコがあれば大きな力を生み出すことができるように、自己資金は少額でも借入金により利益を大きく増やすとが可能となることからこのように呼ばれています。

 

このレバレッジ効果の中身を具体的に確認してみましょう。わかりやすくするために、投資利回りが6%のマンションを個人で購入して不動産投資を行うケースを例にします。具体的には以下の①、②の場合で比較を行ってみましょう。

 

①価格が1億円で投資利回りが6%のマンションを現金のみで購入

②価格が2億円で投資利回りが6%のマンションを自己資金1億円と借入金1億円(金利は4%)で購入

 

まず、①の場合、マンションから得られる収益は年間で600万円になります。

 

収益を求める計算式

600万円=1億円×6%

 

一方、②の場合、マンションから得られる収益は年間で1200万円になります。

 

収益を求める計算式

1200万円=2億円×6%

 

もっとも、②では借入金の金利400万円をここから差し引く必要があります。

 

借入金の金利を求める計算式

400万円=1億円×4%

 

結局、金利を差し引いた最終的な年間収益は800万円になります。

 

最終的な収益を求める計算式

800万円=1200万円マイナス400万円

 

整理すると、①の収益は600万円であるのに対して、②の収益は800万円になります。このように、①、②のいずれも自己資金は1億円ですが、そこから生み出される収益には大きな差がでました。レバレッジ効果により200万円も多く利益を得ることができた②の方が、自己資金をより有効に活用できたことになるわけです。

 

本連載は、2016年1月25日刊行の書籍『世界一わかりやすい私募REITの教科書』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

世界一わかりやすい私募REITの教科書

世界一わかりやすい私募REITの教科書

初村 美宏

幻冬舎メディアコンサルティング

取引所に上場せず、オープンエンドで運用される不動産投資ファンド「私募REIT」。 1990年代にアメリカで人気となり日本でも2001年から発売が開始、不動産投資市場でも急成長を遂げている人気の投資商品である。主な投資者は機…

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