香港に拠点を置き、在香港の投資家向けに海外不動産の投資助言サービスを提供するコンボイ インターナショナル プロパティー コンサルティング。CEOを務めるチャン・ネオ ヴィン タック氏に、香港投資家から見た「日本の不動産の魅力」などを伺った。聞き手は、香港の新しい金融機関であるニッポン・ウエルス・リミテッド(NWB/日本ウエルス)の中島努CEOである。後編となる今回は、香港の投資家が日本以外に注目している国などもご紹介する。

長期投資の対象として考えるのは難しい日本の不動産

中島:では、今後の動向について、お伺いします。アベノミクス以降、円安の影響も受けて、香港で日本の不動産投資に注目が集まり始めて約4年を経たわけですが、これは一時的なトレンドなのでしょうか? 香港に居ると、よくイギリスやオーストラリアの物件の広告を目にしますが、これからは日本もこれらの国々と同様、投資先のひとつとして、ポートフォリオに組み込んでおきたい資産という位置づけなのでしょうか?

 

 

チャン個人的には息の長いトレンドになるとは見ていません。円安で割安度が増した物件に投資し、比較的短期で利益を得たいと考えている投資家が多いと思います。2020年のオリンピックに向けて価格が上昇することを期待し、その辺りが売りのタイミングと見ているのではないかと思います。地震などのリスクもあり、富裕層も含めて、長期保有を考えている投資家は少ないと思います。

 

中島:私自身も10年以上日本で不動産投資を行っていて、長期に渡って保有するほど利益が出るというのを実感しています。不動産投資というのは、そもそも長期投資として捉えるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか?

 

チャン:投資した物件をいつまで保有するかは、日本の今後の経済や政治の情勢にもよるかと思います。長期投資を考える場合、投資家はその国の移民政策や人口動態などにも注目します。そういった部分で大きな構造変化が見られない限り、日本の不動産を長期投資の対象として考えるのは難しいと思います。

東南アジアの不動産は香港ではあまり人気がない!?

中島:日本以外では、他にどの国の不動産が人気ですか?

 

チャン:英語圏で注目されている投資先は、カナダ、オーストラリア、イギリス、アメリカです。中でもイギリスは、植民地時代の統治国だったため、法律も似ており、税率も比較的低く、ロンドンは香港と同じく金融センターで様々な国の人が集まっているということから非常に人気があります。

 

次に人気がある国はアメリカです。アメリカは税率は高めですが、移民として住んでいる親類がいるなどの理由から、将来自分で住むことを目的として住宅を購入する人が多いです。これらの英語圏への不動産投資で共通している点は、投資目的だけでなく、子供の留学先として選んだ国であったり、将来自分で住むことも考えての購入をしているということです。つまり、購入した物件が投資成果を上げなくても、自分達の実需を満たすことができる可能性があるため、買う側は自ずと強気になります。

 

一方、日本で自分の住宅用としての購入は5%程度でほとんどありません。日本が好きで訪れる人は多いですが、所有するよりホテルに滞在するほうが割安と考えている人が多いからです。

 

中島:日本では、カンボジアやベトナムへの不動産投資が注目されたこともありましたが、香港でも他のアジア圏での不動産投資に対する興味の度合いはどうでしょうか?

 

チャン:日本人にとっては価格が安いことが魅力かもしれませんが、香港ではリスクが高いと感じている人が多く、あまり人気がありません。また、それら東南アジアの国々では銀行から融資を受けられず、先ほど挙げた英語圏で融資を受けて購入する場合と、自己資本ベースでの投資金額はあまり変わりません。

 

ですから、それらの英語圏での不動産投資の方に魅力を感じる人が多いです。借入金比率は、イギリスだと65%から70%、カナダも65%、オーストラリアも70%と高く、融資を受けずに東南アジアで投資するより、これらの英語圏の国でレバレッジをかけて投資をした方が、安全性や投資対象の幅等の点で魅力度が高いと言えるでしょう。

 

中島:では、不動産の購入手続きについては、どうでしょうか?国によって、手続きにどのような違いがありますか?

 

チャン:日本は契約が比較的簡単です。不動産業者が基本的にはすべてハンドリングしてくれるので、手続きが早く済みます。アメリカも日本と似ていて、比較的早く手続きが済みます。カナダも州ごとに契約書の雛形が決まっていて、複雑なプロセスがなくスムーズに契約できます。一方、イギリスでは、弁護士を介して、契約書や購入する物件の査定など、様々なプロセスを経る必要があり、契約締結までに2~3カ月かかることもあります。

 

 

中島:今後も海外から日本への不動産投資が自由に出来ればいいと思いますが、日本での不動産投資において、日本政府に何かリクエストはありますか?

 

チャン:政府というか金融機関へのリクエストになりますが、非居住者でも銀行口座の開設がしやすくなり、融資が受けられるようになれば、海外からの不動産投資はさらに活性化されると思っています。

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    本稿は、個人的な見解を述べたもので、コンボイ インターナショナル プロパティー コンサルティングおよびNWBとしての公式見解ではない点、ご留意ください。

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