株式や債券以外にも、投資商品には多くの種類が存在しますが、比較的よく目にするものに「不動産投資」があります。不動産投資では、値上がりを待つかあるい不動産を賃貸することで利益を上げます。今回は不動産投資のリスクや収益についてお話しします。

値上がりを期待しつつ、賃料収入を得る

投資について詳しくなってくると、株式や債券以外にも、いろいろな「投資」が世の中にあふれていることに気づきます。なかでもよく目にするのが不動産投資という言葉です。

 

不動産投資とは、現物(商品)投資の一種で、不動産を購入して値上がりを待つか、あるいは購入した不動産を賃貸して利益を上げるものです。1991年にバブルが崩壊するまでの日本では、不動産が長期的な値上がりを続けていたため、ただ購入して値上がりを待つというかたちでの不動産投資が可能でした。


しかし、現在では不動産価格は長期的に値下がりしていますので、ただ保有するだけでなく、積極的に賃貸しなければ不動産投資にはなりません。その意味では、不動産投資とは株式や債券のようにただ持っているだけの投資ではなく、会社を興すような事業投資に近いものになっています。


バブル崩壊までの日本で不動産価格が値上がりを続けていたのは、日本が経済成長を続けていたために、事業用不動産の需要が多く、供給が足りていなかったことと、生産年齢人口も増加を続けていたために住宅用不動産も需要が旺盛で供給不足だったからです。


現在の日本は、人口が減少したために住宅用不動産が余っていて、なおかつ経済が停滞しているため、事業用不動産も供給が足りています。今後、日本が経済的に復活することを見込んで、事業用不動産の価格は上がり始めていますが、まだ先行きは不透明です。

リート(REIT)は手軽な不動産分野への投資

一般的には、不動産投資とは、余っている土地に賃貸用アパートを建設して、賃料収入を得ることをさします。中古アパートや中古マンションを格安で購入してリフォームし、賃料収入を得ている投資家もいます。


不動産投資においては、不動産価格に値下がりのリスクがあることと、アパートやマンションの建設にお金がかかり、なおかつ空室になってしまえば想定通りの賃料収入が得られないなどのリスクがあることから、初心者にはなかりハードルの高い投資といえます。


元本保証どころか、投資開始時点では建築代金やリフォーム代金が持ち出しになってしまうので、1年やそこらで売却すると収支がマイナスになることがほとんどです。また、株と違って不動産は売りにくく、好きなときに換金することができません(これを流動性が低いといいます)。


また、収入の源泉がその不動産に入居した賃借人からの賃料収入であるため、相手が悪いと値切られたり、支払いを遅らされたり、部屋を汚されたりなど、株式や債券とは異なるリスクに注意する必要があります。家賃保証をする管理会社などが間に入ることもありますが、その場合は管理手数料の支払いがあるので利回りが低下してしまいます。


このように、不動産投資はハイリスクであるため、その利回りも一般的には10%以上と、かなり高いものになっています。

 

自分自身で不動産投資を始めるほどの資金やリスク許容性はないけれども、需要と供給の原則から見て不動産投資は確実に利益が出ると考える人のために、不動産投資信託(REIT:Real Estate Investment Trust、リート)と呼ばれる投資商品もあります。


リートとは、簡単に言えば、不動産投資を行う会社に投資するものです。三菱地所や三井不動産などの不動産会社の株式を購入することにも似ていますが、株式を購入した場合は、その会社の不動産投資以外の事業にも投資したことになります。

 

リートの場合は、純粋に不動産投資の事業自体を証券化したものなので、あなたの投資したお金が不動産投資以外に使われることはないのです。

本連載は、2014年7月29日刊行の書籍『インフレ時代の投資入門』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

インフレ時代の投資入門

インフレ時代の投資入門

杉浦 和也・前野 達志

幻冬舎メディアコンサルティング

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