長い目で見ればリスクは高くない株式投資

株式と債券には、どのようなメリットとリスクがあるのでしょうか。ここでは、それぞれのリスクを踏まえた上で、どのようなメリットがあるかについて比較します。

長期投資なら株式が最も優れている

前項では、社債と株式の最大の違いは、満期の有無にあるとご説明しました。一方で、利回りについて考えてみると、債券も株式も投資とリターンの仕組みとして、たいした違いがないように見えてきます。


しかし、現在のような低金利時代には、現実の利回りには大きな違いが出てきます。実際に購入できるものを比べてみればすぐに分かりますが、債券の利回りはいずれも1%前後しかありませんが、株式の場合は、利回りが3~5%になるような価格で売られているものが数多くあります。


その理由はやはり、リスクの大小にあります。株式も債券も市場における価格には値動きがありますが、債券が短期的にはほとんど価格が変わらないのに対して、株式の場合は値動きの幅が大きいからです。価格が急激に上がったり下がったりするのはリスクが高いといえますから、そのぶん株式の利回りは高くなっていると考えてみるのはいかがでしょうか。

長期投資なら株式も「ローリスク」

一般に、株式投資がハイリスク・ハイリターンといわれるのは、配当金による利回りではなく、株価の値動きによる売却益や売却損ばかりが注目されるためです。しかし、長期国債を持つように、あるいは銀行に定期預金をするように、配当利回りだけを考えて株式を購入するのであれば、株価の値動きに心を乱される必要はありません。長期投資であれば株式がローリスクになるゆえんです。


もちろん、株式のままではお金として使えませんから、事故や災害などでお金が必要になれば、換金する必要が出てくるかもしれません。そのときに、購入時よりも株価が値下がりしていれば、やはり売却損が出ることもあります。


しかし、考えてもみてください。もし配当利回りが5%と仮定すれば、20年ですでに元は取れているはずです。配当利回りが4%でも25年で元が取れます。それだけの長期間保有することができたのであれば、投資先の会社が倒産して株価がゼロ円にでもなっていない限り、どんなに株価が値下がりしていようがトータル・リターンはプラスになるはずです。

 

また、値下がりがあるということは、同じだけの確率で値上がりもあるということです。20年近く持っていれば、株価が2倍や3倍になっている可能性だってあります。

 

株式の長期投資というものは、配当利回りで着実に収入を得つつ、株価が大きく値上がりしたときには売却してもいいかな、といったくらいのゆったりとした気持ちで、会社の成長を楽しみに待つものなのです。


そもそも、株式投資とは、働かなくても暮らしていけるくらいの富裕層が、お金を寝かせておいても意味がないから世の中のために投資をしようという気持ちで始めるものです。借金をしたり、生活費をつぎこんだりして、利ざやを稼ぐことに血眼になるような投資方法はギャンブルと同じですから、勧められません。


ただし、定期預金をしたり、国債を購入したりするくらいなら、株式投資のほうがだんぜんお勧めです。なぜなら、今なら配当利回りが高く、もしかすると売却益で大きな成果が得られるかもしれないとの楽しみまでついてくるからです。

 

定期預金や国債では、大化けする楽しみがないどころか、今の時代では、インフレによって実質的な価値が下がってしまいかねません。

本連載は、2014年7月29日刊行の書籍『インフレ時代の投資入門』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

パインブリッジ・インベストメンツ株式会社 代表取締役社長

学習院大学経済学部卒業後、1985年に野村證券投資信託委託入社。日本株式運用、総合企画、秘書室勤務を経て野村アセット・マネジメント・シンガポール、野村ブラックロックで幅広い資産運用ビジネスを経験。その後、メリルリンチ・インベストメント・マネジャーズのディレクターを経て、2002年5月に投資信託本部長としてAIG 投信投資顧問(現 パインブリッジ・インベストメンツ)入社、その後、常務執行役員投資信託本部長を経て、2011年6月から現職。日本証券アナリスト協会検定会員。

著者紹介

パインブリッジ・インベストメンツ株式会社 執行役員 グ ローバル・マルチアセット運用部長

慶應義塾大学商学部卒業後、1987 年に三井生命保険入社。1993年より同社英国投資顧問現地法人に勤務し、ロンドン・シティからグローバルな株式・債券投資を行う。その後、スカンディア生命保険、三井住友海上シティインシュアランス生命保険を経て、2004年にAIG 投信投資顧問入社。その後、執行役員 運用本部長兼グローバル・バランス運用部長を経て、2013 年1 月より現職。日本証券アナリスト協会検定会員およびCFA 協会認定証券アナリスト。

著者紹介

連載インフレ時代の投資入門

インフレ時代の投資入門

インフレ時代の投資入門

杉浦 和也・前野 達志

幻冬舎メディアコンサルティング

仮に今、あなたに1000万円の預金があるとしましょう。安倍内閣が掲げるインフレ目標2%が今後毎年達成された場合、その預金の価値は毎年2%、つまり20万円ずつ目減りしていくことになります。預金の金利はもちろんつきますが、現…

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