世界的な金融緩和の流れもあり、スリランカの中央銀行も、金利を上げることに慎重になっていますが、それがスリランカの財政に対して悪影響を与えているという見方もあります。 ※本連載では、内戦の終結以降、高い経済成長を誇ってきたスリランカですが、歪な経済構造を背景にして、昨今、表面化してきた様々な問題について見ていきます。

利上げを極度に恐れる中央銀行

銀行の法定預金準備率を引上げたことは好ましくなかった。経済成長を抑制し、信用システムを非効率にするだけで、メリットは全くない。スリランカがより発展するためには、法定預金準備率は上げるのではなく、下げなければいけない。

 

遅すぎた感はあるものの、金利を50ベーシスポイント(0.5%)利上げしたのは良い動きであり、2015年4月の利下げによるダメージをいくぶん軽減している。また幸いなことに、第三四半期頃から銀行は預金金利を約200ベーシスポイント引き上げている。預金金利が高いと消費が抑制され、より多くのリソースが融資や投資に向けられる。

 

スリランカの中央銀行では、利上げはこの世の終わりであるという独特の考えがあるが、実際にはそうではない。金融引き締め時においても経済は成長しうる。スリランカでは金融引き締めが遅れて、信用拡大がすすみ、国際収支の危機を招いてしまった。この結果、経済のハードランディングが避けられなくなってきている。

スリランカ経済を追い込む負の連鎖

為替はドル・ペッグ制が維持されているので、流動性が制限され、金融システムが引き締められており、結果、預金金利が上がっている。このことは、紙幣を発行するうえでペッグ制を維持することが、当局にとっていかに重要かを示している。当局は準備金が底をついて初めて目を覚ますのだろう。

 

切迫した対外債務の返済については多くの警告がなされてきた。もし正しい金融政策が採られていたのならば、相当額の国内信用を抑制することで、債務は返済することができただろう。対外債務が返済できなくなるのは、中央銀行が短期国債を購入することで、国内信用が持続可能な水準を下回ってしまう時である。これは、簡単には理解しにくい理論である。

 

一方、通貨下落によって国外の貸し手を失ってしまうと、債務の繰り延べが難しくなる。こちらは、誰もが簡単に理解できることである。

 

次回は、スリランカ・ルピーの見通しと改善策についてご説明します。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2016年3月に掲載した記事「THE ECONOMY IN 2016: LIMPING TO STABILITY FROM A RUNAWAY BUDGET」を、翻訳・編集したものです。

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