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連載インフレ時代の投資入門【第3回】

投資の第一歩としてお勧めの個人向け国債

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投資の第一歩としてお勧めの個人向け国債

国債は、大きなリターンは望めないものの、内容がわかりやすく、初心者向けの商品だといえます。ここでは、国債の基本的なしくみを解説するとともに、購入方法についても簡潔に解説します。

国債を購入してみよう

国債に代表されるデットは、ハードルが低く簡単に始められるので初心者向けの投資商品です。リターンの得られ方が銀行の定期預金とよく似ているので理解しやすいですし、そのわりには金利が銀行預金よりも少し高いのでメリットもすぐに分かります。


ここまで読んでこられた投資初心者であれば、次にまとまったお金ができたら、1%以下の金利しかつかない銀行の定期預金ではなくて、国債を買ってみようかなという考えが頭に浮かばないことはなかったでしょう。


では実際に国債を買ってみましょう。2015年4月の時点では、個人が買える国債には個人向け国債と利付国債の2種類があります。銀行などが保有していて市場で取引されているのは利付国債で、個人向け国債とは「国債」と名前がついていますが、似て非なる金融商品と考えてください。

「個人向け国債」と「利付国債」の違い

どのように違うかといえば、その取り扱いのしやすさです。個人向け国債とは、いわば、投資初心者でも受け入れやすいように、国債を銀行の定期預金に近づけた商品です。利付国債は「債券」ですから、いったん購入してしまうと返済期限が来るまで中途解約ができません。

 

もし途中で換金したくなった場合は市場で売却するしかないのです。そして、市場で売却する場合は、そのときの時価(市場価格)でしか売れませんから、場合によっては元本割れすることがあります。

 

一方、個人向け国債の場合は、購入後1年以上が経っていれば、返済期限が来ていなくても国が額面で買い取ってくれます。つまり元本の返済が保証されています。ただし、その際には過去1年間の金利は差し引かれます。つまり、1年で換金してしまうと元本しか戻ってきません。


このように比較すると、個人向け国債は利付国債に比べてずいぶんと有利な商品に見えますが、ここでもハイリスク・ハイリターンの法則は生きています。

 

個人向け国債は、同じ期間であっても、利付国債よりも金利が低いのです。そのため、現在のところ個人向け国債の金利は、金利のよい一部の銀行の定期預金とさほど変わらないかもしれません。商品内容がほぼ同じなのですから、当然といえます。


とはいえ、個人向け国債には定期預金にはない良さもあります。それは変動金利型の商
品があることです。変動金利の対義語は固定金利です。固定金利とは、投資した時点で決められた金利が、返済期限までずっと続くことです。例えば、固定金利1%の10年国債を買えば、10年間毎年1%の金利がつくことになります。これは通常の定期預金と同じ仕組みです。


一方、変動金利型国債の場合は、そのときどきの市場動向にあわせて金利が変動します。例えば1年目は金利が1%だったとしても、2年目にインフレの影響で金利が上昇すれば、例えば1.5%など上昇したぶんだけの金利がつきます。逆にデフレが進行して金利が下がれば、例えば金利が0.5%になることもあります。

 

この先金利が上がると思えば変動金利型国債が有利ですが、下がると思えば固定金利型国債が有利です。どちらにもメリット、デメリットはありますが、現在は非常に金利が低い状況で、なおかつ今後はインフレが来て金利の上昇が予想されるので、変動金利型国債が今は人気があるようです。

 

このように説明すると、変動金利型国債でインフレリスクのヘッジができそうですが、私はあまりその見方に賛成しません。なぜなら、物価の上昇(インフレ)から金利の上昇が来るまでにはタイムラグがあり、また今後起きるインフレ率と比べると、金利の上昇率は緩やかなものになると予想されるからです。例えば、2%のインフレ目標が達成されたとしても、金利が2%に届かなかったとしたら、実質的な資産は目減りしてしまいます。


とはいえ、初心者が最初に購入する投資商品として、個人向け国債はとても優れています。元本保証ですし、購入に際して、手数料を支払う必要もないからです。実際は金融機関が売代行手数料を取っているのですが、購入者ではなく国から徴収しています。

社会人の教養として買ってみるのもお勧め

国債の購入は、郵便局や銀行、信用金庫などの窓口で行えます。自分が口座を持っている金融機関に行って、個人向け国債を購入したいと相談すればよいでしょう。個人向け国債の発行は毎月1回行われていますし、1万円から買えるので誰でも気軽に試してみることができます。


2015年4月の時点では、個人向け国債には3種類の商品があります。変動金利型10年国債と、固定金利型5年国債と、固定金利型3年国債です。金利はそのときどきで異なってきますが、いわゆる利付国債の基準金利よりは低くなります。


ところで、実際に国債を購入しようとすると「この商品は預金と違って元本保証ではありませんが理解なさっていますか」などと脅すように念押しをされます。これは預金保険で守られていないという意味です。また「1年間は換金ができませんが、よろしいですか」などとも聞かれるでしょう。預金ではないというだけで、ずいぶんと厳重な注意が必要になるものですが、リテラシーのない人が投資に手を出さないように国も安全を期しているわけです。

 

このようにして、国債の購入は完了します。あとは年に2回口座に金利が振り込まれて、満期(返済期限)が来たときに元本が戻ってくるだけです。

 

利付国債の購入も、個人向け国債とそれほど変わりません。金融機関の窓口に行って利付国債(新型窓口販売方式国債)が欲しいと相談するだけです。個人向け国債との相違点は、最低価格が5万円ということと、中途換金したいときには市場で売買しなければならないことぐらいです。なお、2015年4月の時点では、新型窓口販売方式国債には変動金利型はありません。固定金利型で2年、5年、10年満期が用意されているだけです。個人向け国債よりも短期の国債が用意されているので、使い勝手がいいかもしれません。また、同じ期間の国債を購入するのであれば、利付国債のほうが高金利です。


たとえ1万円でも国債を購入すると、折に触れて世の中の動きが気になってきますし、経済ニュースにも興味がわいてきます。社会人としての教養を高めるためにも、試しに一度、国債を買ってみてください。

本連載は、2014年7月29日刊行の書籍『インフレ時代の投資入門』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

杉浦 和也

パインブリッジ・インベストメンツ株式会社 代表取締役社長

学習院大学経済学部卒業後、1985年に野村證券投資信託委託入社。日本株式運用、総合企画、秘書室勤務を経て野村アセット・マネジメント・シンガポール、野村ブラックロックで幅広い資産運用ビジネスを経験。その後、メリルリンチ・インベストメント・マネジャーズのディレクターを経て、2002年5月に投資信託本部長としてAIG 投信投資顧問(現 パインブリッジ・インベストメンツ)入社、その後、常務執行役員投資信託本部長を経て、2011年6月から現職。日本証券アナリスト協会検定会員。

著者紹介

前野 達志

パインブリッジ・インベストメンツ株式会社 執行役員 グ ローバル・マルチアセット運用部長

慶應義塾大学商学部卒業後、1987 年に三井生命保険入社。1993年より同社英国投資顧問現地法人に勤務し、ロンドン・シティからグローバルな株式・債券投資を行う。その後、スカンディア生命保険、三井住友海上シティインシュアランス生命保険を経て、2004年にAIG 投信投資顧問入社。その後、執行役員 運用本部長兼グローバル・バランス運用部長を経て、2013 年1 月より現職。日本証券アナリスト協会検定会員およびCFA 協会認定証券アナリスト。

著者紹介

連載インフレ時代の投資入門

インフレ時代の投資入門

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杉浦 和也・前野 達志

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