本連載は、不動産の売買・交換、相続税、贈与税などの分野で積極的な問題解決を提案している税理士・鈴木高広氏の最新刊、『税額はこれだけ変わる!平成28年度税制対応 納税対策Q&A 不動産・相続編』(ビジネス教育出版社)の中から一部を抜粋し、不動産にまつわる税金対策の基礎知識をご紹介します。

所得税・個人住民税は何に対して課せられるのか?

節税を考えるには、まずどのような税金が課されるのかを知っておく必要があります。今回は不動産にかかわる節税の前段階の知識として、所得税と個人住民税について解説します。

 

所得税は、その年分の所得に対して課税される税金で、翌年2月16日から3月15日までの間に申告・納付する手続きをとるものです。

 

個人住民税は、その年1月1日時点でその地に住所を有する個人が対象となります。個人住民税の税額は、その前年1月1日から12月31日までの所得を基準として計算されることとなります。

 

たとえば、平成28年に大きな所得があり、その年中に死亡(または海外へ移住)した場合には、その翌年である平成29年1月1日時点では、その地に住所を有していませんので、平成29年は住民税が課されません。結果として、平成28年の所得を基準とする住民税(平成29年の住民税)は存在しないことになります。

 

住民税の申告は、通常は各自治体に対しては行わず、確定申告に付随して行われることとなりますが、サラリーマン(給与所得者)の場合には、所得税も住民税も申告は不要です。住民税の納付は、普通徴収または特別徴収の方法で行うこととなります。

 

普通徴収:自治体から送付された納税通知書で、納税者が自ら納付する(納期は6月、8月、10月、翌年1月の4回)。

 

特別徴収:6月から翌年5月までの毎月の給与から徴収される。

所得税+住民税の最高税率は55%

不動産所得・事業所得・給与所得・一時所得・雑所得などが合算され、各種の所得控除をした後の金額(課税総所得金額)に対して、次の税率で所得税・住民税が計算されます。

 

[図表1]課税所得に対する所得税および住民税の税率(平成27年以後)

 

[図表2]所得税速算表(平成27年以後)

 

[図表3]所得税・住民税合算速算表(平成27年以後)

 

平成24年度税制改正により、平成25年から平成49年までの各年分の所得税については、所得税に対して2.1%上乗せとなる復興特別所得税が時限的に付加されています。

また、平成26年度から平成35年度までの各年分の個人住民税均等割が1,000円引き上げとされています。

税額はこれだけ変わる! 平成28年度税制対応 納税対策Q&A 不動産・相続編

税額はこれだけ変わる! 平成28年度税制対応 納税対策Q&A 不動産・相続編

鈴木 高広

ビジネス教育出版社

ゴール(目的)は同じでも、通る道によって途中でこぼれる税金は異なります。 本書では、「不動産の賃貸・売買」と「相続」に着目して、単に税法上の特例の解説ではなく、実例をもとに各種対策を紹介しています。 納税を有利…

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