成長を持続できるか? 問われるスリランカ財政再建の行方

内戦の終結以降、高い経済成長を誇ってきたスリランカ。2015年の大統領選挙において平和裡に政権交代を成し遂げたことから、アジアにおいても経済・政治ともに安定した国家という印象を世界に与えました。しかし今、歪な経済構造の弊害が表面化してきています。スリランカ経済が抱える問題を見ていきます。

想定以上に膨らんだ財政赤字をどう改善するか?

2016年のスリランカ経済は、ますます不安定になることが懸念されている。2015年に軌道を外れて膨れ上がった予算を修正することがほとんど出来ておらず、債務返済の負担が重くのしかかっているためだ。しかし、一部には改善点を見ることもできる。

 

2015年1月の補正予算で、国家公務員の給与を40%引き上げたことで揺らいだ信用システムが、同年4月の金利引き下げによって更に混乱した。今の状況は、果たしてこの時と同じくらい悪いのだろうか。2015年の段階では、財政赤字は4,990億スリランカ・ルピー(約34億ドル)と見積もられていた。後にこれが6,700億スリランカ・ルピーと修正されたのだが、実際のところは7,500億から8,000億スリランカ・ルピーといったところが妥当であろう。

 

毎月の税収は2015年1月では890億スリランカ・ルピーだったのが、同年12月には1,450億スリランカ・ルピーに上昇した。驚くべきことに、財務省のデータによれば11月と12月の税収は、それぞれ150億と50億スリランカ・ルピーの黒字であった。10月から12月にかけての税収の増加は、超過税と自動車の輸入税によってもたらされたものである。

 

月毎の税収が1,200億スリランカ・ルピーに増加したことは、2015年1月に比べれば大きな改善である。ただスリランカ・ルピーが急落したことで名目価格が高くなり、輸入税と国内の税収が増えたことが要因である。

 

2016年については、7,400億スリランカ・ルピーの財政赤字とともに、8,680億スリランカ・ルピーの公共投資が見積もられている。しかし、これは中国からの大規模な資金投入を含んだ、水増しされた数字だろう。スリランカが投資できるのは、せいぜい約5,000億スリランカ・ルピーかそれ以下である。

 

2016年は公務員の給与や年金の増額がないことも朗報である。公務員の賃上げを抑制することは「財政再建」にとって重要であり、財政の安定化につながるだろう。

高所得者向けの自動車には「安い税金」という不平等

車の輸入はすでにローン規制と増税で下落している。国内の与信は現在、税収が低い自動車以外の輸入に移行している。自動車輸入に制限をかけるのは、予算に悪影響を与える誤った政策の一つである。また現行の税制では、従来型のガソリン車やディーゼル車ほどには、ハイブリッド車や電気自動車による税収が上がっておらず、高額な自動車は道路建設の財源ともなる輸入税に貢献をしていない状況だ。

 

このことは再生可能エネルギーと同じく、税制と環境保護を利用した富裕層によるイカサマともいえる。その上、皮肉なことにスリランカでは、電気自動車は石炭によって動いている。よって、今よりも高い税を電気自動車に課す新政権の決定は評価できる。また電気自動車以外の車の使用が増加して燃料の使用量が増えれば、税を徴収する機会も増えるだろう。

 

次回は、財政の立て直しのカギとなる、燃料価格の見通しと改善策についてご説明します。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2016年3月に掲載した記事「THE ECONOMY IN 2016: LIMPING TO STABILITY FROM A RUNAWAY BUDGET」を、翻訳・編集したものです。

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連載2016年、政策転換が求められるスリランカ経済

『ECHELON(エシュロン)』は、スリランカの三大ビジネス誌のひとつ。著名な経営者・ビジネスパーソンのインタビュー記事から、同国の金融・経済・投資・不動産などの最新事情、ラグジュアリーなアイテムやライフスタイル等の記事を幅広く掲載。経営者層やハイクラスなビジネスパーソンなど、同国の物的・知的富裕層を多数読者に抱える。(写真はチェアマンのChanna De Silva氏)

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