前回は、なぜアンティークコインの価格は高値で維持されているのかを説明しました。今回は、アンティークコインを鑑定する「鑑定会社」について見ていきましょう。

鑑定会社による「グレード分け」で価値が明瞭に

鑑定会社は、コインだけを鑑定しているわけではありません。ありとあらゆるものを鑑定しています。有名選手が使用した野球のボールなども鑑定して、鑑定ケースに入れていますし、コミックも鑑定しています。

 

鑑定会社は民間企業なので、信頼できるかどうかは過去の実績で判断するしかありません。そういう意味では、格付け会社に似ているかもしれません。格付け会社は、債券などを発行する国や企業が元本や利子の支払いを行う能力が、どのくらいあるかをレーティングするものです。

 

民間会社で有名な格付け会社には、ムーディーズやS&Pなどがあります。民間会社でありながら、これらの会社の格付けが信用されているのは、過去の実績によるところが大きいのです。

 

また、1社ではなく、2社以上が存在している点も、信頼性を高めています。鑑定会社の場合にも、1社独占ではないところが価格の透明性を高めています。ちなみに小さな鑑定会社は無数にありますが、PCGSとNGCの大手2社が98%ぐらいの市場を占めています。

 

アメリカの鑑定会社には、鑑定に70段階程度のランクがあります。といっても、実際に付与されるのは10段階程度です。さらに各ランクに星やプラスをつけたり、プルーフ(鏡面仕上げ)やプルーフライクなどの加工方法や状態で段階をつけたりします。

 

また、造幣局の社長のサインが入っているかいないか、ファーストストライク(初期ロット)であるかなど、細分化されているのです。なぜなら、購入する人は細かく分けられていたほうが高い価格でも納得しやすいからです。

 

鑑定結果は、鑑定ケースに貼られたラベルに記載されています。バーコードが記録されていてそれをスキャンすると、過去の鑑定記録が表示されるのです。

 

バーコードのデータは、一般の人は見ることはできませんが、ケースに表示された番号を鑑定会社のサイトに入力すると、過去の価格のデータなどを参照することができます。同じコインが何枚発行されて、現在、どのランクで何枚が存在しているかもわかるようになっています。

 

枚数は会員登録をしていないと見られませんが、価格は登録しなくても見ることができます。そういう意味でも価格の透明性が高いといえるのです。

 

中古車の業界では、走行メーターを巻き戻して、価格を高くするような不正が行われているといわれますが、コインの世界は、そのような不正が入り込めないようになっているのです。

 

鑑定会社に登録する手続きは非常に簡単です。基本的には名前と住所とメールアドレスを登録するだけです。

 

大手鑑定会社の1社PCGSは年間で50ドルから60ドルの費用がかかります。日本円にすると、6000円程度です。すべての情報にアクセスして、データを自分で確認できることを考えると、非常に安いともいえます。会員になると自分の持っているコインを鑑定してもらうこともできます。

鑑定を依頼するだけでコイン価格が上乗せされる!?

実は、鑑定会社を利用して、短期間で儲ける裏ワザもあります。イギリスの造幣局であるRoyal Mintはコインの発行枚数が少ないので、ここが発行したコインには最初から希少価値があります。

 

発行時点で直接Royal Mintから購入し、鑑定に出すと価格を上乗せして売却することができます。鑑定会社に鑑定を依頼するだけで、利幅を乗せて売ることができるのですから、完全なる必勝パターンといえます。

 

具体的にいえば、Royal Mintの2ポンドコインなどは、購入金額は780ドル程度で、鑑定を受けて売却すると1000ドル程度で買い手がつくのが一般的です。

 

鑑定費用に30ドル程度かかりますが、それでも190ドル程度の利益になるのです。それも、ほぼ確実に稼げるわけですから、これほど有利な投資はないといってもいいでしょう。鑑定会社の会員になれば、このような裏ワザで儲けることもできるのです。

 

基本的には鑑定ケースに入っていないコインは人気がありません。それは鑑定不能だったと購入者が考えるからです。

 

本連載は、2016年2月12日刊行の書籍『超富裕層だけが知る資産防衛の裏ワザ アンティークコイン投資』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

超富裕層だけが知る 資産防衛の裏ワザ アンティークコイン投資

超富裕層だけが知る 資産防衛の裏ワザ アンティークコイン投資

石山 幸二

幻冬舎メディアコンサルティング

増税、インフレ…多額のお金を持っているほど、資産を「守る」ことが難しくなった現代。不動産や保険など様々な投資対象が資産防衛手段として喧伝されていますが、未だに唯一解は提示されていません。 そんな中、本書では知ら…