前回は、株式投資初心者がまず投資すべき企業の選び方などを紹介しました。今回は、「PER」「PBR」を活用した、より具体的な優待株の選び方を見ていきます。

株価の割安・割高を判断できるPER・PBR

株価は日によって変動します。前日比で大きく上昇したために割高、大きく下落したために割安とは一概には言えません。株価が割安か割高かを判断する材料として、PER・PBRに注目してみましょう。

 

●PER(株価収益率)=株価÷1株あたりの利益

 

PERは企業の収益に対し、株価が割安かどうかを測る指標です。株価が1株あたり利益の何倍まで買われているかを表しています。株価を利益で割って算出するので、株価が低いほどPERは小さくなります。市場平均や同業他社、過去のPER推移と比較して割安・割高を判断します。

 

●PBR(株価純資産倍率)=株価÷1株あたりの純資産

 

PBRは企業の1株あたりの純資産に対し、株価の何倍まで買われているかを判断します。株価を純資産で割って算出するので、こちらも株価が低いほど数字が小さくなります。一倍になると株価と純資産が一致していることになります。また、一般的には、1倍が株価の下限であると判断し、1倍を基準にして割高・割安を判断します。

 

これらの数字は都度計算の必要はなく、証券会社の個別銘柄画面などで確認できます。

 

PER・PBRともに、市場動向や企業の成長期待度、または人気によって変化するため、一概に何倍ならいいとは言えません。市場平均や同業種の企業と比較することが大切です。

PER・PBRは「市場全体」の影響を受ける点にも注意

例として日本製粉(2001)、日清製粉グループ本社(2002)に注目してみます。2社の業種は食料品に属し、日本製粉は製粉業界で業界2位、日清製粉グループ本社は業界トップと類似する企業です。

 

東証1部平均 PER:16.98倍 PBR:1.35倍

 

日本製粉(2001)PER:18倍 PBR:1.03倍

日清製粉グループ本社(2002)PER:34倍 PBR:1.6倍

(PER・PBRは2015年12月1日時点)

 

両社のPER・PBRを東証1部の平均値と比較すると、日本製粉のほうがPERは割高、PBRは割安と判断できます。日清製粉は、PER・PBRともに東証1部平均より割高です。2社の比較では日本製粉がPER・PBRの両方で日清製粉よりも割安であると判断できます。

 

PER・PBRは市場全体の影響も受けるため、単体だけで見ても判断がしづらいものです。特にPERは市場平均や業種別で比べるのが有効です。

 

全体の数値との比較、同業他社との比較を行うと、企業の価値がすでに割安なのか、割高なのかが見えてきます。割高なタイミングで買付しないよう、事前にPERやPBRなどの指標をチェックしてみてください。

本連載は、2016年1月27日刊行の書籍『勝てる!「優待株」投資』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は著者の個人的な見解を解説したものであり、著者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。投資はリスクを十分に考慮し、読者の判断で行ってください。本連載の内容に関して投資した結果については、著者及び幻冬舎グループはいかなる責任も負いかねます。

勝てる!「優待株」投資

勝てる!「優待株」投資

藤井 明代

幻冬舎メディアコンサルティング

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