スリランカ経済に打撃を与える「利下げ政策」

国債政策や為替介入などから垣間見える、スリランカが抱える構造的な財政問題をお伝えしてきた本連載ですが、最終回は金利政策について見ていきます。

「国際金融のトリレンマ」に陥っているスリランカ

固定相場制と二重アンカーの問題は、国際金融のトリレンマともいわれます。国際金融のトリレンマとは、資本の自由移動、独立した金融政策、固定為替相場を同時に実現することができないことをいいます。しかし、過剰流動性と不胎化外貨売り介入は、国際収支危機を引き起こします。スリランカでは、過剰流動性が存在するため、対外債務の返済に使われた外貨準備の補填が困難になります。

 

また、変動相場制を無効にしつつある中央銀行にスリランカへのドルの流れが支配されるという問題もあります。しかし、ルピー債の保持者が恐れを感じるということが、より大きな圧力となります。

ルピー債保有者の動向に変化が

2012年、IMFはスリランカ当局に対し、ルピー債の保持者が恐れを感じる前に行動を起こすよう求めました。 原油価格と金利の上昇によって状況が修正されるまで、ルピー債の保持者の大多数は穏やかでした。

 

しかし、今回はルピー債の保持者がある程度の量を売り始めています。保有総額がわずか6億ドルだった2008年と2009年に売ったときとほぼ同様です。ドル債の保持者は、通貨の下落から保護されています。6月1日、短期国債は、50億ルピーまで下がりました。 期限満了前のレポ取引もありませんでしたが、過剰流動資産は970億ルピーでした。

 

そのような大量の流動資産が存在するとき、ルピーを自由に売ることはできません。 変動相場制はもちこたえられないでしょう。過剰流動性が尽きるとき、さらにルピーに圧力がかかります。これは、部分的な通貨防衛のための不胎化外貨売り介入と同様です。これが2012年2月から3月に起きたことです。そのため、過剰流動性があるときに「弾力的な為替レート」を持つことは意味をなしません。しかし、貨幣価値の下落により、外国人投資家が継続的な損失のために売りを控えるかというのは別の問題です。

 

もし2014年に通貨価値が戻ったとしたら、ペッグ制の信頼、もしくは為替介入の後ペッグ制が初期のレベルに戻るという信頼があったのでしょう。2009年にルピーがいったん急落した後、価値が上がったということがありました。そのため、2011年にルピー債保持者は静観していました。

国内クレジット状況と乖離する金利設定

一方、中央銀行の短期国債の蓄えが増え始めました。 6月18日までには、月始は50億ルピーだったところから、最高250億ルピーまで上がりました。おそらく、中央政府の負債を清算する外貨準備によるのでしょう。6月24日までには、過剰流動性は、月初の970億ルピーから590億ルピーまで下がりました。 修正措置がとられるまで、不胎化外替売り介入は4億ドルいかないかもしれません。 外貨借入のいくらかは、遅らせることができますが、それでは問題解決になりません。

 

中央銀行スワップを行うことで、インドは問題を悪化させました。更正の代わりにさらなる麻薬を注射をされた麻薬中毒者のようなものです。 また、スワップは不胎化外替売り介入を防止しないでしょう。

 

一方、IMFは中央銀行と指導者達に薬を処方し、薬を飲むまで外貨準備の放出を抑えました。指導者達は、人々に真実を話すよう強制されました。現在の利率は、国内の信用状況と相容れるものではありません。 2011年1月の致命的な利下げは、7.25%まででした。 しかし、2015年4月の致命的な利下げは、6.00%でした。 スリランカは以前よりはるかに脆弱になっています。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」2015年7月号に連載された「Sri Lanka Knocks Hard at BOP Crisis Door」を、翻訳・編集したものです。

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連載スリランカ財政の功罪

『ECHELON(エシュロン)』は、スリランカの三大ビジネス誌のひとつ。著名な経営者・ビジネスパーソンのインタビュー記事から、同国の金融・経済・投資・不動産などの最新事情、ラグジュアリーなアイテムやライフスタイル等の記事を幅広く掲載。経営者層やハイクラスなビジネスパーソンなど、同国の物的・知的富裕層を多数読者に抱える。(写真はチェアマンのChanna De Silva氏)

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