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連載元・東京国税局部長が明かす、スゴい「減価償却」【第30回】

減価償却によって膨らんだ繰延利益の「出口戦略」とは?

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減価償却によって膨らんだ繰延利益の「出口戦略」とは?

前回は事業年度が1年未満で取得した減価償却資産の償却方法などを説明しました。今回は、減価償却による繰延利益を処理する「出口戦略」について見ていきます。

経営環境の変化に合わせ、繰延利益を赤字で相殺

減価償却を活用した節税の本質は、課税の繰延であることは繰り返し述べてきました。課税の繰延を続けていくと、繰延利益が膨らんでいくことになります。

 

例えば、毎期10億円の黒字所得を稼ぐ会社が飛行機のオペレーティングリースで6年後に所得10億円を繰り延べたとすると、今期は所得がゼロになりますが、6年後は事業の黒字所得10億円と繰り延べられてきた所得10億円が実現して、20億円の所得になります。再度、飛行機のオペレーティングリースで20億円を繰り延べると、12年後の黒字所得は30億円になり、この所得をどうすればいいのか、検討しなければならなくなります。このように、本業の事業黒字が続くと、繰延利益は大きく膨らんでいくことになります。

 

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では、オペレーティングリースなどで莫大に膨れ上がった繰延利益をどのように処理すればよいのでしょうか。ここでは、法人を前提として、三つの対処法を見ていきます。

 

第一に、経営環境の変化への備えです。例えば、課税を10年繰り延べた場合、10年後も課税所得の黒字を維持できているでしょうか。国税庁の発表によれば、法人税の黒字申告割合は、過去10年間で3割前後です。

 

つまり、法人の7割は赤字申告になっていて、黒字申告は少数派なのです。長期間にわたって、黒字申告を維持することはなかなか難しい、ということがわかります。そうであるなら、大抵の法人はどこかで赤字が発生するので、そこで繰り延べてきた黒字所得を処理することが考えられるわけです。

 

仮に黒字が維持できず、10年後、課税所得が赤字になっている場合には、繰り延べてきた所得で赤字を相殺することができます。一般的に、青色申告の法人は、欠損金(いわゆる赤字)を9年間、将来に繰り越すことができますので、この間に繰り延べてきた所得と欠損金を相殺することができます。

 

また、経営を続けていくと含み損を抱える資産を持つこともあるかもしれません。そうした含み損を抱える資産を売却して、損失を実現させて、繰り延べてきた所得と相殺する手法も考えられます。さらには、新たなビジネスへの投資を行うと、ビジネスの立ち上げ当初は赤字になることが多いと思いますが、その場合、繰り延べてきた所得を活用して赤字と相殺することができます。

役員退職金の原資として繰り延べてきた所得を活用

第二に、予定されている費用などへの対応です。代表的なものとして、役員退職金は一般的に多額になりますので、その支払いの原資として繰り延べてきた所得を活用することができます。

 

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第三に、課税の繰延ではない他の多様な方法を活用して所得と税金をコントロールし、タックスマネジメントを実現していくことです。減価償却は課税の繰延という節税手法の一つですので、他の手法も活用することにより、膨れ上がった繰延利益をコントロールしていくことは可能と考えられます。

本連載は、2014年4月25日刊行の書籍『スゴい「減価償却」』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
本連載の内容に関しては正確性を期していますが、内容について保証するものではございません。取引等の最終判断に関しては、税理士または税務署に確認するなどして、ご自身の判断でお願いいたします。

杉本 俊伸

杉本俊伸税理士事務所 所長・税理士

1967年宮城県生まれ。中央大学法学部を卒業後、国税庁入庁。大曲税務署長、関東信越国税局調査査察部国際調査課長、ハーバード大学ロースクール、財務省主計局主計官補佐、国税庁資産課税課課長補佐、税務大学校研究部主任教授兼国税庁国際業務課、東京国税局調査第三部長等を経て、2013年12月退官。2001年米国公認会計士資格合格。東京国税局の調査部長として大企業の税務調査を指揮したほか、国税庁では全国国税局の資産課税事務の指導監督などを経験。現在は相続・事業承継、税務調査対策、国際税務に関するコンサルティングに取り組んでいる。

著者紹介

連載元・東京国税局部長が明かす、スゴい「減価償却」

スゴい「減価償却」

スゴい「減価償却」

杉本 俊伸+GTAC

幻冬舎メディアコンサルティング

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