コロンボ証券取引場の流動性を高めるため、証券取引委員会(SEC)によって導入された浮動株割合に関する新ルール。しかしSECの思惑とは反対の動きが、市場には広がっています。厳しい基準下の一部市場から二部市場へと移行する動きについてお伝えします。

市場の自律性を貶める!? 証券取引委員会の新基準

企業が公開する株式のうち、一般株主によって保有される浮動株の最低割合を引き上げたスリランカの証券取引委員会(SEC)による新たな上場基準は、市場のリスクから資本家を守ることがSECの役割であるかのような印象与え、投資家を過度に甘やかすものである。

 

もし投資家が浮動株割合が低い企業に投資をしようとするのなら、簡単にはエグジットできないというリスクに注意をする必要がある。それでも投資するかどうかは、投資家の選択である。結局のところ自由市場においては、リスクプレミアムが適切に付けられることによって、市場の「流動性」「透明性」そして「価格発見機能」に関する問題が、容易に解決されるものなのだ。

 

このような自律性は、どの証券市場でも、あるいは他のアセット・クラスでも、通常備えられている機能の一部である。リスクが容認できないほど高いと判断して距離を置く投資家もいれば、ボラティリティの高さにチャンスを感じる投資家もいるのだ。

 

ある企業の株式の流動性が、比較的に低くなっても、証券取引所に責任はない。SECが流動性を高めようと導入した新たな規制は、裏目にでる結果となっている。Finlays ColombosとMetropolitan Resource Holdingsに続いて、パーム油の製造販売を行なうCarson Cumberbatch(時価総額93億ルピー)、Shalimar(同157億ルピー)、Indo-Malay(同116億ルピー)、そしてGood Hope(同98億ルピー)なども再編後に、上場廃止となる。何十年もの間、上場していたこれら企業が市場から姿を消すことになれば、証券市場のもつ経済のバロメーターという機能はより一層弱くなるだろう。

透明性の低い「セカンド・ボード」への移行

Carson’s Equity Two PLCとPegasus Hotelsは上場廃止ではなく、セカンド・ボード(二部)に移行される予定である。セカンド・ボードでは、浮動株割合は2016年末までに10%以上と、メイン・ボード(一部)に比べて緩く設定されている。Royal Palms Beach Hotels (RPBH)、Colombo Investment Trust (CIT) そして、 John Keells PLC (JKL)もセカンド・ボードへの移行を要求しているが、浮動株割合が理由かどうかは明らかではない。

 

スリランカのセカンド・ボードであるDiri Savi Boardでは、上場企業に求められる決済報告書が、四半期毎ではなく半年に一回だけである。そのためSECが新たに導入したルールの影響は、上場廃止が相次ぐことによって証券市場の経済バロメーターとしての機能がさらに低下するだけでなく、情報開示ルールが緩いセカンド・ボードへの移行企業が増えることによって、証券取引における透明性をさらに劣らせることにもなるのだ。

 

次回は、新規制について見直しが迫られる、スリランカの証券取引市場の今後についてご紹介します。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2016年2月に掲載した記事「THE SEC’S ILL–THOUGHT-OUT LIQUIDITY IMPROVEMENT PLAN HAS BACKFIRED」を、翻訳・編集したものです。

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