今回は、税理士でも失念しやすい「微妙な不整形地」の評価減についてお伝えします。 ※本連載は、相続税の専門家として「相続税還付」に力を入れている佐藤和基氏の新刊で、2015年12月に刊行された『不動産の知識があれば相続税は取り戻せます!』(住宅新報社)の中から一部を抜粋し、納め過ぎた相続税を取り戻すノウハウなどをご紹介します。

形がいびつな土地はあらゆる角度から評価減を検討

形が正方形、長方形のように整形地であれば必要ないのですが、形がいびつであれば利用価値が下がってしまうため評価減ができます。不整形地補正は基本的な評価減要素ですし、机上でも判断できるので、失念する税理士はそこまで多くはないですが、明らかな不整形地のみについて不整形地補正を適用し、微妙に不整形地として評価を下げることができそうなものについては失念しているケースがよくあります。

 

パッと見た感じでは長方形に見えても、道路に接している間口から見ると垂直ではなく斜めになっているようなケースではよく失念しています。不動産評価に慣れていない税理士ですと、見た目だけで不整形地ではないと判断してしまうのでしょう。逆に慣れている税理士であれば、斜めになっているから不整形地で評価減できるかもしれない、と判断がつくのですが。基本的な論点ですが、よく出てくる論点となります。

 

【図表1 不整形地】

出入り口の通路部分が狭い「旗竿敷地」も評価減の対象

差引計算は、旗竿敷地について適用できる評価減要素となります。評価の仕方としては、不整形地について近似整形地を求め、隣接する整形地と合わせた全体の整形地の価額の計算をしてから、隣接する整形地の価額を差し引いて計算する方法となります。

 

財産評価基本通達にも記載されていて机上でも計算できるのですが、かなりの税理士がこの差引計算を失念しています。ベテランの税務職員でも「この評価はどういうことですか?」と聞いてくるので、ほとんどの税理士が失念している(税務職員も見る機会が少ない)のでしょう。かなりの頻度で税務職員も把握していない論点であるため、最近では下記の差引計算の例の計算資料の中に、【財産評価基本通達20(4)参照】といった根拠通達の番号を入れるようにしています。

 

差引計算の例

【イメージ図】

※路線価に接する土地を1㎡当たり10,000円で評価し、借地権である場合には、評価額に借地権割合D=60%を乗じることになります 。
※路線価に接する土地を1㎡当たり10,000円で評価し、借地権である場合には、評価額に借地権割合D=60%を乗じることになります 。

イラスト(不整形地):山脇 豊

本連載は、2015年12月9日刊行の書籍『不動産の知識があれば相続税は取り戻せます!』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

不動産の知識があれば相続税は取り戻せます!

不動産の知識があれば相続税は取り戻せます!

佐藤 和基

住宅新報社

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