不動産を「負動産」にしないために打つべき手とは?

不動産を所有していると、空室増加・評価額下落・家賃滞納など様々なリスクに悩まされます。今回は、そのようなリスクを回避して保有不動産を生かす一つの方法を見ていきます。

所有する賃貸物件に問題を抱えている人は多いが・・・

依頼人がアパートなどを所有している場合、私は必ず、「今、空き部屋はありませんか? 家賃の滞納など、賃借人とのトラブルはありませんか?」と尋ねるようにしています。こう問いかけられて初めて、「そういえば」と問題を口にする人が少なくありません。


「アパートを持っているが、古い物件なので、常時、空き部屋が1〜2室ある」
「賃借人の中に、家賃を滞納している人がいる」


などといった問題が出てきます。


そして大抵の場合、それは解決できます。ここ数年で最も印象的だったのは、23区内のJR駅近くにアパートを持っていたAさんという60代の男性のケースです。


Aさんの持っている物件は、場所はいいのですが建物が築20年と古かったため、相場よりも安い賃料で貸していました。建物の残債がまだあるため、賃料による収入よりも銀行のローンの支払いの方が多く、年金だけでは生活できず、アルバイトに行っていました。


相談を受けて土地の価格を調べてみたところ、売却すれば、軽く1億円を超えることが分かりました。ローンを差し引いても、Aさんの手元には7000万円が残る計算になります。その7000万円を使って、別の新しい賃貸用の物件を買い、月20万円くらいで賃貸に出せば、年金と合わせて一人暮らしには十分な収入が確保できます。もうアルバイトに行く必要もありません。


このような提案をしたところ、Aさんは「そんなこと、自分では全く思いつきませんでし
た。今ある資産が1億円以上の価値があるとも思ってもみませんでした。ぜひその方法でお願いします」と喜んでくれました。


Aさんのように、非常に優れた資産を持っているにも拘らず、自分ではその価値に気づい
ておらず、生かし方が分からないという人は少なくありません。「自分にはこれしない!」と思い込み、今のやり方に固執してしがみつき、みすみす機会を逸するとは、非常にもったいないことです。


しかるべきプロの力を借りれば、その後の人生の展開が全く違ってくる可能性があります。せっかくの機会を、ぜひ多くの方に生かしていただきたいと思います。

「財産管理契約」を活用し、問題を先送りしない

財産管理契約(本連載第7回参照)のなかには、不動産に関する事項も盛り込むことができます。年齢を重ねるに従って負担が大きくなっていく、家賃の払い込み状況のチェック、入居者の管理、賃料の値上げなどの契約関係についても、任せることができるのです。賃貸住宅は賃借人の権利が強いため、賃貸物件を持っている人のなかには、不安を抱えている人が少なくありません。そんな人こそ、ぜひこの制度を利用してほしいものです。


今は不動産管理に不安がないという人でも、賃貸用の不動産を持っている場合、その不動
産を今後どうするか考えておいた方がいいかもしれません。都心もしくは都心に近い場所にある不動産で、今後も収益が期待できるならばいいのですが、地方にあってそれほど新しくない場合は、今が考え時です。地方はこれからますます高齢化していき、どんどん人口減少が進んでいきます。


今後、空室が埋まらないことが多くなっていき、売ろうにも売れない事態が発生すること
が予測されるからです。また、相続が発生したとき、古い不動産を残されても相続人たちが困るだけ、ということも考えられます。不動産は管理が大変なので、「誰が管理するか」という問題が出てくるからです。


今はまだ2020年のオリンピックを控えて不動産価額が維持できているので、今のうち
に売却するものは売却して、売却益を老後資金にするなり、もっと都心に近い物件を購入して賃貸に出すなりして、資産の組み換えを行っておいた方がいいでしょう。


不動産を「負動産」にしないためにも、早めに打つ手を考えておくようにしたいものです。

本連載は、2015年11月25日刊行の書籍『老後の財産は「任意後見」で守りなさい』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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連載老後の財産を守るための「任意後見」活用術

南青山 M’s 法律会計事務所 代表社員 弁護士/公認会計士

弁護士・公認会計士。南青山M’s法律会計事務所代表。芦屋大学経営教育学部客員教授。
1973年愛媛県生まれ。1995年一橋大学経済学部卒業。2006年成蹊大学にて法務博士号取得。1995年監査法人トーマツ(現 有限責任監査法人トーマツ)入社、上場企業の監査、M&A等に携わる。その後、会計事務所、法律事務所勤務等を経て2009年に南青山M’s法律会計事務所を設立。個人、企業にとって身近な法律問題はもちろん、税務問題、会計問題、それらが絡み合う複雑な問題についても、冷静に問題を分析し、依頼者にとって最も利益となる問題の解決方法を提案、実践している。著書に『ドロ沼相続の出口』(幻冬舎)。

著者紹介

老後の財産は 「任意後見」で守りなさい

老後の財産は 「任意後見」で守りなさい

眞鍋 淳也

幻冬舎メディアコンサルティング

昨今、高齢者を狙った詐欺や「争続」が新聞やテレビなどのメディアで盛んに取り沙汰され、老後の財産管理に対する不安が高まっています。高齢になると判断能力が低下してしまい、望まないかたちで財産を失ってしまうケースは多…

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