前回は、フィリピンの代表的なリゾート地などを紹介しました。今回は、フィリピンの通貨である「ペソ」の安定性について見ていきます。

フィリピン人労働者は約40年間で60倍以上も増加

ここでフィリピンの通貨である「ペソ」について解説しましょう。フィリピンの個人消費の強さを支えている要因がOFWです。OFWとは、Oversea Filipino Workerの略で、海外へ出稼ぎに行っているフィリピン人労働者を指します。

 

国外で雇用契約を結んでいるOFWの数は1975年時点で年間3万6000人でしたが、2013年には224万人となり、なんと約40年間で60倍以上も増加しています。

 

 

国外からフィリピンへの送金額で比べてみると、1975年には、1億米ドルに過ぎませんが、2013年には約229億米ドルに達しています。これは同年のGDPの8.4%に相当する規模です。このようにOFWは、フィリピン経済に大きく貢献しているのです。

積極的なOFW送金によって「ペソ高」が進む

また、OFW送金の送金元地域別内訳を見ると、米国からの送金が最も多く、最近では、欧州や中東地域からの送金の増加が目立っています。

 

[図表]OFW送金額と送金元(地域別)の推移

 

従来、OFWは、メイドや販売員といった給与水準の低いサービス業に従事するケースが多かったのですが、欧州などでは、看護師など給与水準の高い職種に従事するOFWが増えています。フィリピン政府は、日本とのEPA協議(フィリピンと日本の経済連携協定・投資協定)でも、給与水準の高い看護・介護分野へのOFW受け入れ拡大を要望しています。

 

最近のペソ高も、OFWからの送金による所得移転が影響していると考えられています。

 

ASEAN主要4カ国の通貨の過去10年間の対米ドル為替相場の動きを、2005年初頭から確認してみると、最も増加しているのは、フィリピン・ペソであることがわかります。

 

 

このように海外からの送金は、フィリピンの旺盛な個人消費を支える原動力となっています。フィリピン中央銀行によると、これらの送金は生活必需品の購入費だけでなく、教育費、医療費、家電・耐久財の購入にも回されており、フィリピン人の生活水準および教育水準の向上に貢献したと考えられています。

本連載は、2016年2月27日刊行の書籍『億万長者になりたければ、フィリピン不動産を買いなさい』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

億万長者になりたければ、 フィリピン不動産を買いなさい

億万長者になりたければ、 フィリピン不動産を買いなさい

鈴木 廣政・渡辺 頼子

幻冬舎メディアコンサルティング

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